第38話 決意

 事の顛末を聞いた瑤迦は、一層表情を険しくした。自分が知らないところで色々なことが起こりすぎている。そもそも、自分の転生がかなりの無謀な賭けで、強行軍であったことに目眩がした。多分誰もそんなこと思ってはいないとは思ったが、かなり迷惑をかけたことに今更ながら申し訳なくなった。

「あの、天帝、迷惑かけてごめんなさい……助けてくれてありがとうございました。みんなも!ありがとう」

いたたまれない様子の瑤迦を見て、天帝は瑤迦の頬にそっと触れ、優しく微笑んで言った。

「気にするな。そなたは龍使いである前に我が弟、礼の忘れ形見ぞ。助けぬわけがあるまい」

今にも泣きだしそうな顔の瑤迦にそれぞれが励ましの声をかけた。

そして、天帝は先ほどまでの優しい表情の一切を消して東王父に尋ねた。

「今、魂魄を戻しても支障はないか?」

東王父も柔らかさの全てを消して答えた。

「先程も申した通り、傷はほとんど修復できております。どちらにしろ、あとはご自身の治癒力で治すしかありませんな。ただ、一番の問題は、やはり血が足りぬことでございましょう」

東王父は視線を瑤迦に移し、今度は瑤迦に尋ねた。

「仮死状態の器を生かすのもやっと……という状態じゃ。しかし、生きるだけなら、その器のままでも生きていくことはできよう。魂魄を戻したとて生きるかどうかはそなたの生命力次第。怖れるならやめても構わぬ。もう一度聞くぞ。戻るか?」

 瑤迦は全員の顔を見て、ニッと挑戦的な微笑みを浮かべ、最後に東王父の視線をしっかり捉え、迷いのない目をして答えた。


「戻ります。今すぐに」

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