第29話 切り離し
「私が魂魄と身体を切り離す。身体の方は、鈴。仙術で肉体の時を止めることはできるな?」
「はい。身体の時を止め、封印し、身体の修復と浄化をさせましょう。どのくらい掛かるか分かりませんが…」
「頼む。魂魄の方は、私が天門から天道にのせて、輪廻の輪に組み込む。炎迦、流迦、そなたたちは私と一緒にこい」
「分かった」
「かしこまりました」
「迅は雷迦とまだ治まっていない我龍山を頼む」
「承知」
「うん」
そう言って二人はかけて行った。
「では、やるぞ。鈴」
はい、と言って鈴は瑤迦の心臓のあたりに手を置いた。天帝はチラッと炎迦と流迦を見て、最後の確認をした。
「魂魄を切り離したら、一旦お前たち二人に預ける。消滅しないよう気を与え続けろ。そのまま天門まで行くぞ」
二人はその言葉にごくりと息をのんだ。魂魄に気を与えるなど、したことがない。しかし、状況がそんなことを言わせてはくれなかった。
二人は居住いを正してはい、と返事をした。
「よし。では、それぞれ、頼んだぞ」そう言って天帝は、瑤迦の額に置いていた手に気を集中させた。額から手を離すと紫の光の玉が瑤迦の身体から出てきた。その光の玉が身体から完全に切り離された瞬間、鈴は呪を唱え始めた。天帝は手のひらの上でふわふわと浮いている小さな紫の光の玉を炎迦と流迦に渡した。二人とも両手で包み込むように受け取り、消えないように気を与えた。身体と魂魄両方を確認した後、天帝は行くぞと言って、炎迦と流迦の肩に手を置いた。次の瞬間、三人は天宮から消えていた。
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