第27話 緊迫

「まぁ、そんな感じでとにかく大変でな。飛龍に天帝呼びに行かせたんだ」と、あんまり大変じゃなさそうに迅迦が言った。

「天帝も鈴様も血相変えていらして」と言う流迦に「あー、そうだったな」と迅迦が続けた。


バン!と勢いよく扉が開かれた。「瑤!」剣を振う時でさえ、余裕たっぷりでいつも優雅に穏やかにゆったりと歩いているところしか見たことのない男の息を切らしてかけてきた姿に緊迫感はより一層濃くなった。「何があった!」

「わからねぇ!飛龍が俺に瑤がやられたって伝えてきて…」

天帝は弾かれたように飛龍に目を向けた。「飛龍!お前たちがついていながらなぜこうなった!」

飛龍は何も聞こえていないないのか返答はなかった。それどころか、目にも何も映っていないかのように座り込んでピクリとも動かなかった。

「天帝!瑤が…血が…血が止まらないよ!」雷迦の泣きそうな叫びに天帝はハッとし、青ざめた顔の瑤迦に目をやった。

「お前たち、よくやった。変われ」その声に額に汗を滲ませた流迦が尋ねた。「ですが、お一人で?」「朕は天帝ぞ。大丈夫だ」

特魔たちはわかりましたとそれぞれ渋々瑤迦から離れて天帝に場所を譲った。全員肩で息をし、全身汗でぐっしょりだった。ちょうどその時、再び扉が開かれ今度は女性の声が響いた。「天帝!瑤迦は!」

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