第26話 回顧

「瑤、お前、どこまで覚えてる?」炎迦が尋ねた。

「相手方の天人に腹を貫かれたところまでは…」

「あー、なるほどな。負傷したお前を天宮に運んだのは飛龍だ。お前がやられたと俺に白炎で伝えてきた」

「白炎…」(火龍族の中でも族長一族のみが使えるという最も温度の高い炎か…)

「天宮に連れてくって言うから、俺たちもそっちに飛んで、でも俺たちがついた時にはお前はもう瀕死の状態で…血を流しすぎたのか顔も真っ青で」

いつもあっけらかんとした明るさが自慢の炎迦も、当時のことを思い出して歯切れが悪かった。ニコニコと爽やかなお調子者の雷迦もいつになく沈んだ表情で当時のことを話した。

「うん…酷かったよね…魂魄も身体から離れかかってて…四人の力を合わせても留めるのが精一杯だった…」

そんなに緊迫した状況だった事に瑤迦はゾッとして、はずみとはいえ、流迦に言った言葉を心底後悔した。チラッと横目で流迦を見ると、いつものように優しく微笑んでくれたので、安心したが、発言する前には一度ちゃんと考えようと改めて思ったのだった。

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