第25話 器
先ほどの厳しい雰囲気をガラッと変えて、穏やかな空気で東王父は全員をさらに奥の扉に案内した。
「こちらです」扉を開けると、薄暗い部屋の奥、紗幕の向こうに、ぼう、と白い光が浮いているのが見えた。
ゆっくりと進み、紗幕の前まで来た時、炎迦と流迦が中を窺い見たが、光の正体は分からなかった。
東王父が優しく微笑み、幕を外した時、特魔たちの目に飛び込んできたのは、白い光に包まれた瑤迦だった。
「瑤…!」瑤迦以外の特魔たちが泣きそうな顔と声で瑤迦の名を呼んだ。瑤迦は不思議なものを見る顔で「私…?」と言った。
「東王父様、瑤の器は今どのような状態なのですか?」流迦が心配そうな声で尋ねた。
「相手にやられた傷はもうほとんど癒えておる。大変だったのだぞ。魂魄の抜けたただの器を修復するのは。生気のない器はただの入れ物じゃ。おかげで時間がかかった」
それまで黙っていたが、自分の記憶のないところで何が起こっていたのかさすがに気になったのか、瑤迦が口を開いた。
「あの…何が起こっていたのか、教えてくれませんか?」
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