第15話 希望

「…はぁ!?何でそうなるんだよ!」と炎迦が声を大にした。「落ち着けって」と迅迦がたしなめた。「天帝がそう言ったのですよね?瑤」「うん」

「じゃあ、あの時の瑤の身体は!?天帝たちは失敗したってことか?」「それはないんじゃない?あの人たちって歴代でも5本の指に入るくらい力強いって言われてるし」炎迦と雷迦の会話についていけず、瑤迦は思ったことを口に出した。「失敗って何?どういうこと?」炎迦はガシガシと自分の髪をかき混ぜ言った。「あー、あん時俺たちはお前の魂魄を何とか身体に押し留めようとしてたんだよ。魂魄が抜けたらただの器である身体は消滅する。天人は転生できないから魂魄も行き場をなくして消える」雷迦がうんと頷いて続ける。「でも、僕らの後に駆けつけた天帝が瑤を人界に転生させるって言って魂魄と身体を切り離したんだ」「…え…?」「私たちは天帝に言われて天帝の補助をしておりましたから、どうなったか詳しくは分からないのですが、あの時、身体の方は天帝が皇后に任せていました。うまくいけば助かるかもしれない、と」流迦は最悪の場合も考慮してか、言葉を選びながら話した。自分にまさかそんなことが起こっていたとは露知らず、瀕死の状態だったとはいえ、されるがままだった瑤迦は自分が急に情けなくなってきた。それでも、わずかではあるが、可能性があることに喜びを隠せなかった。顔に喜びを滲ませ、声を震わせながら、他の四人に確認するように尋ねた。「もしかしたら、私の元の身体は無事かもしれない…?」(誰も消滅させないで済むかもしれない…?)

迅迦が瑤迦の顔をしっかり見て答えた。「可能性はゼロじゃねぇよ」他の三人も力強く頷いた。

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