第13話 後悔
「天帝がそのようなことを…」特魔の中でも洞察力に優れている流迦は瑤迦の話から、天帝がなぜそんなことを言ったのか探ろうとしたが、
分からなかった。なぜ、そんな必要のないことを言ったのか。
「私は、転生などしなければよかった!あのまま消滅していればよかった!」瑤迦は泣きながら叫んだ。
「この身体も、本当なら別の、人界のものが入るはずだった!私は、その者が生まれる機会を奪ったんだ!あげく、関わったものたちの記憶も書き換えられて…この上、他の天人の身体に魂魄を入れるなど!私は、そうまでして生きたいとは思わない!」
(助けられた者に、こんなこと言う権利も資格はない。分かってる!でも…)
「すみませんでした」流迦の声に瑤迦は顔を上げた。流迦は申し訳ないような、悲しい表情をしていた。
初めて見る流迦の表情に戸惑い、震えた声で尋ねた「どうして流(りゅう)が謝るの」
流迦は苦しい表情のまま答えた。
「瑤…あの時、あなたが天宮に運ばれてきた時は、瀕死の状態で…私たちも魂魄を身体に押し留めようと必死だったんです。あなたに消えて欲しくなかったから。でも、そのことがあなたをこんなに苦しめているなんて…」その言葉に今度は瑤迦が顔を歪めた。
「ごめん、ごめんなさい、流…そんなつもりじゃ…ただ、私は…」「瑤…泣かないでください」そう言って、流迦は指先で瑤迦の涙を拭ってやった。
そして、優しく微笑んで言った。
「知っていて欲しいことがあります。あなたが、命を奪ったと言う人間を思うよりも、はるかに強く私たちはあなたのことを大事に思っています。天帝から“迦”の名前をいただくよりもずっと前からの付き合いなんですよ、私たちは」その言葉に瑤迦は流迦に抱きつきまた泣いた。
鼻水はつけないでくださいね、とかなんとか言ってるけど、知らない。泣かせたのは流迦だ。こうなること予測してな方がいけないんだ。
「そろそろ良いかな?」
「ああ、良いだろ」
「…お前ら、そういうの出歯亀って言うんじゃないか…?」
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