第10話 疑問点

「数日前から、我龍山の方が少し騒がしい。瑤迦、還ってきたばかりで悪いが、近いうちに龍たちと見て来て欲しい。龍穴の方も」

「かしこまりました。本当に休んでる暇ないわね」

「すまんな。龍たちとそなたが適任だと思ってな」

「大丈夫です。留守にして多分バリバリ働きますよー」という天帝と瑤迦の会話に炎迦が思わず口を挟んだ。

「瑤迦と龍だけで行くのか?危なくないか?」

「五人もいれば大丈夫よ」

「でも戻ってきたばかりだろ?」天人の中でも瞳の色に応じた特殊魔力をもつ特魔は戦闘力が高い。

幼い頃から戦闘訓練もいけているので武力も相当のものだ。必要以上に心配をしている炎迦を天帝も不審に思ったのか、

「何か、気になることでもあるのか?」と尋ねた。

「何が、っていうわけじゃねぇんだけど…」歯切れの悪い炎迦の返答に流迦も口を開いた。

「警戒しておきましょう。炎迦の野生の勘は当たりますから」天帝も瑤迦も納得し、

「分かった。では、通常業務と同時進行で頼む」「何かあったらすぐ呼ぶね」と答えた。

天帝は続けて、「それとな、特魔が全員揃った故、全ての兵に現状を伝えておきたい。今後はいつ戦になるかわからぬからな」と話した。

「全ての兵ですか?」特魔最年長の迅迦が尋ねる。天帝は眉一つ動かさずに

「全てだ。外宮、内宮、近衛、そして天龍軍もな。明後日辰の刻で良いだろう。こちらは迅迦と雷迦に任せて良いか?不審人物の洗い出しも合わせて頼む」

と言い、迅迦と雷迦も「承知しました」と答えた。「仙界の方は鈴、そなたが」「かしこまりました」と全員の役割が無事決まった。

天帝が解散と言おうとした時、瑤迦が口を開いた。

「天帝、一つお伺いしたいことが」何を聞かれるかわかっているのか、天帝は余裕のある笑みで答えた。「なんだ?言ってみろ」


「私は、本当に特魔に戻っても良いのですか?」



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