第6話 特魔

天界最高峰の鳳凰山。そこに天宮は建っている。正しくは鳳凰山全てが天宮だ。

天帝・皇后の住まいはもちろん、執務室、天界を機能させる全てが天宮にある。その天宮有する鳳凰山最高地点から少し下った所、

常人では辿り着くことも不可能に思える断崖絶壁にポツンとたつ四阿がある。

質素だが、場所のことを考慮してかちょっとやそっとでは潰れない頑丈な造りになっている。

そこに、色は違いの揃いの服を身につけた4人の男たちが集まり、それぞれにくつろぎ、穏やかに、しかしいつもより楽しそうに会話をしている。

会話の途中で男たちは何かに気づいた。


「おっ」

「来たね」

「気が早ぇな2人とも」

「ふふっ」


その中の1人緋色の武官装束を着崩した男が髪をかき上げながらニヤッと笑う。

「やーっと帰って来やがったか、チビ姫」挑戦的なその瞳は燃えるような真紅。その仕草一つで人の目を惹きつける野生的な魅力を持っている。

「なんだかんだで一番楽しみにしてましたもんね、炎迦(えんか)」穏やかな声で話すのは藍色の武官装束をこちらは乱れなく着た、

女性と見間違えるほどの美しい男。

「うっせーよ、流迦(るか)。お前もさっき笑ってただろうが」

「ええ。瑤迦に会うのは久しぶりですから。とても楽しみです」海の底のような藍色の瞳がにっこりと笑う。

「楽しみなら素直に楽しみっていった方が良いですよ。意地悪ばっかりしないで」

「だーっ!うっせーっつーの!」

「火の力を持っているとはいえ…なーんであんなのがオレら特魔の筆頭なワケ?特魔最古参の迅迦(じんか)の方が向いてるのにー」

「人を年寄り扱いするなよ…それと、あんなのとか言っちゃ可哀想だろ?雷迦(らいか)。あんなんでも火の力持ってるんだから」

「おい!!!お前ら!!!好き勝手言いやがって!!!てか迅迦!お前は喧嘩売ってんだろー!」迅迦と呼ばれた男は額に手を当て、

薄緑色の瞳を閉じ、軽くため息をついた。

「なんでため息つくんだよ!!!」

「ほらほら、炎迦。どうどう」雷迦と呼ばれた大きな金色の瞳を持つ男が茶目っ気いっぱいの笑顔で宥めようとするが炎迦はそれも気に入らずに突っかかった。

「オレは馬じゃねぇー!」

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