第25話

能力者のための学園は具体的に何をする場所なのだろう。一応は大学の代わりということではあるが、勉強なんてフェリシーからしか教わっていないもので、彼女の教えてくれたものがどれ程のレベルなのかは分からないが…


「えー、んじゃあ早速能力測定始めっぞー、ほらガキども並べー」


早速ガーベラの仕事だ。まぁ、アイツにまともな教師が務まるとは思えないし、実技試験関連の仕事を任されているのだろう。


「試験は個別でやるからな。名前順で並んでくれ、ほらあんま時間ねぇんだから急いで」


妹のローズマリーをあしらう普段の様子から、何となく年下の扱いが雑ながらもそつなくこなす奴だとは思っていたが、存外様になっている。


「ったく…ガキのお守りは疲れるぜ…」


「その割には楽しそうだな」


試験が始まると同時に、俺は列をこっそり離れてガーベラの元へ向かった。


「へへ、偵察中にダンジョンに迷い込んだガキを保護することもあったからな。慣れたんだよ」


「そのダンジョンもしばらく探索は打ち止めだな」


「寂しいか?」


「どうだろうな。ダンジョンと研究所だけが俺の世界だったから、少し新鮮だ」


「言われてみりゃ、俺も長いことダンジョンに居たからな…その気持ちは分かるし、最近は仕事が回ってきてもダンジョンから出てきた魔物の処理ばっかりだった。ちっこい災いばっかりなのはそれはそれで不安だ。こう言う時って、だいたいデケェ騒ぎの前触れなんだよな」


それも一理あるか、と思いつつ、意外にも早く順番が回ってきた。


「あっ、いっけね。お前の測定は俺がやらねぇとな」


「ん?…あぁ、そういうことか」


確かに、俺の能力は現実の書き換えという稀有であり脅威的な力のため、あまり見せびらかすものではない。


「おーい、コイツは体調悪いらしいから後回しにしてくれー!…っと、これでいいか。もう少し駄弁ろうぜ?」


「あら。じゃあ私も混ぜてくれるわよね、お兄ちゃん?」


このねっとりした声…


「よ、よぉ我が妹!調子はどうかな?」


「最高よ?ジンと同じクラスになれるんだからね。ねぇ、それよりジン?どうして真っ先に私に声かけてくれなかったの?」


「いやぁ…気づかなくてね…」


見てなかった…まさかローズマリーと同じクラスなんて…というか同い年だったのか…


「どこでも特別扱いね」


気付けばガーベラのやつ、逃げてやがる。実の妹だろうに…


「生まれた時からだ」


「仲間外れは嫌い?」


「いや?一人になりたい時だってある」


「奇遇ね、私も二人きりになりたいときがあるの」


「話聞いてた?」


「あなたの言葉だもの、聞いてるわ」


本当にいい加減なやつ…


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