第4話 魔法を覚えたよ

 僕は新しい魔法が覚えたくて魔法屋を探した。

 この世界は、スクロールを購入すると新しい魔法が覚えられる。

 街にある一番大きな魔法屋に入り、色々なスクロールを見せてもらった。


 「すみませーん。回復のスクロールっていくらですか?」

 「金貨10枚だよ。効果は本人の適正で変わるけどね。」


 他に解毒系のキュアと状態回復のリフレッシュを一緒に購入した。

 全部で金貨30枚。魔法店でスクロールを僕にインストールしてくれた。


 「はい。これで魔法が使えますよ。」

 「ありがとうございます。」


 僕は早速ステータスを見た。


 ━━━━━━ステータス━━━━━━

 名前 :綾小路 公人

 レベル:100

 HP :1540

 MP :2447

 攻撃力:3441

 防御力:1446

 ──────呪文───────

 ファイヤ ウォーター ヒール

 キュア リフレッシュ


 ──────スキル──────

 鑑定 全言語理解


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━


 本当に魔法が増えていた。これは素直に凄いと思った。

 宿に帰ろうと大通りを歩いていると奴隷商店を見つけた。

 興味本位で中を覗いてみる。


 「当店に御用でしょうか?」


 後ろから高そうな服を着た男性に声を掛けられた。ここの店主だそうだ。


 「すみません。お店に少し興味があって覗いてました。」

 「宜しければ、商品を拝見しますか?」

 「いいんですか?僕、あまりお金持ってませんけど。」


 「構いませんよ。奴隷の購入は何度も店に足を運び決めるもの。

  良き出会いがあるかもしれませんね。」

 「はい。では見せて下さい。」


 お店の中は貴族の部屋のように豪華絢爛だった。

 そして、多種多様の奴隷を見せてくれた。

 僕は一番安い奴隷の価格を聞いてみた。

 

 「一番安い奴隷っていくらぐらいですか?」


 「四肢の一部が欠損している者です。

  今は右手と右目が欠損した敗国奴隷が居ます。

  金貨5枚の価格となっております。」


 「その人を見せて頂いていいですか?」

 「構いませんよ。」

 

 店主は従業員に合図をして、その奴隷を連れてくる。

 10歳ぐらいの小さな女の子で傷だらけで生気を感じない。


 「この子は、廃処分前となります。」

 「回復魔法がこれ以上の効果が無く、生命の限界ですので。」


 「じゃあ、この子を下さい。」

 「宜しいので?」

 「購入した者は、その身分と生活の保障が義務となりますよ?」

 「はい。大丈夫です。」


 僕は奴隷店で主従契約の儀式を行い、その子を奴隷とした。

 この国では奴隷に対して基本的人権は存在しない。

 殺傷沙汰は事件として逮捕されるが、それ以外はあまり問題にならないそうだ。

 

 「ではこちらが奴隷登録証となります。」

 「ありがとうございました。」

 「こちらこそ、、ありがとうございました。」


 僕は奴隷店を出て、その子に話しかける。


 「おい、おまえ名前は?」

 「……。ない。」

 

 「お前の名前は"ナイ"なのか?」

 「ちがう。奴隷になって名を捨てたので無い。」

 「ふーん。じゃあお前の名前は"ナイ"だ。」


 僕は奴隷に名前を付けて宿に帰った。

 店員に嫌な顔をされたけど、追加料金を払うと文句は言われなかった。


 「チッ… あんのブス店員め 鏡見ろつーんだよ」


 僕とナイは部屋に入った。


 「まず、お前は臭うから今すぐ水浴びをしろ。」

 「…あい。」


 ナイは素直に水浴びをした。

 体中が傷だらけなので僕はヒールを使おうと思った。


 「おい、回復魔法がこれ以上効かないって言ってたけど本当なのか。」

 「…あい、ホントです。」


 僕は最大魔力を込めてヒールをナイに掛けた。


 「ふぁぁぁぁ、しゅごい」

 「効くじゃねーか」


 ナイの傷が治り、右目も見えるようになった。

 しかし、右腕の欠損には効果が無かった。


 「おまえ、他に調子が悪いところはあるか?」

 「あい、体がだるくて頭がガンガンしゅる」


 僕はキュアとリフレッシュを全力でナイに掛けた。

 魔力消費が多かったのか僕はクラクラした。


 「ふえぇぇぇぇ。しゅ、しゅごい」

 「他に調子が悪いところは?」

 「ないでしゅ。」


 「まだ臭いんだよ。ちゃんと洗え。あとその貫頭衣も捨てるからな。」

 「着る服がなくなるでしゅ」


 「待ってろ。買ってくる。」


 僕は服屋に行って女の子用の下着と中古の服を数セット購入した。

 そして宿屋に戻り、ナイにその服を渡す。


 「ナイ、これを着ろ。」

 「いいんでしゅか?ご主人しゃま」


 「あと、お前、まだ臭いんだよ。もしかして水浴び嫌いなのか?」

 「……ちがう。洗ってもおちないでしゅ」

 「チッ…貸してみろ。こうやって洗うんだよ。」

 「い、痛いでしゅ」

 「うるせぇ。黙れ。」


 ナイの肌が真っ赤になるぐらい体を洗い彼女はサッパリ綺麗になった。

 そして夕食を取り、明日から狩りを手伝わす事にした。

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