栄冠の節「謎の魔軍」



 エリスリーゼ帝国は緊急事態宣言により、最大の警戒態勢が発令されていた。


 帝国の市民は皆荷物をまとめ、王城へと避難していた。



 その頃、アーデルハイトはギルベルトと共に、帝国兵士全てに指示を出したながら王城の強化を急いでいた。



「……」



 レグルスはひとり、王城の砦から外の景色を眺めながら考えていた。



 闇の竜騎士率いるゴブリンとオーク……五万の軍団だと? そんななんて原作ゲームの世界には無かったはずだぞ?



 そう、この世界が元となっている原作ゲームでは、シナリオにはおろかイベントにも魔軍などは存在していなかった。


 レグルスがこの世界に転生してからは、事以外は通常のゲームの世界と全て同じであった。


 なので、今回の様に帝国へ魔軍が進軍してくるなどと言う予想外の出来事にレグルスは違和感を感じていた。



 やっぱり変だよな……そもそも闇の竜騎士って存在も気になるし、ゴブリンやオークはただの雑魚NPCのはずだろ? そんなやつらが軍団を組んで進軍なんかするか普通?

 だとしたら、絶対に意図的に引き起こしてるって事になるよな……でも、一体どこのどいつだ? 何の為に魔軍なんてもんを作りやがったんだ―。



「あぁー畜生! 考えれば考える程訳が分かんねぇ!!!」



 レグルスは自分の頭をわしゃわしゃと掻き乱した。



「…そうなるとやっぱりここは、この世界のに聞くのが一番手っ取り早いよな……」



 そう言ってレグルスは王城の中へと戻って行った―。




 ★☆★




 レグルスはヘンリエッタの部屋へと来ていた。

 そこにはヘンリエッタの隣に座るリアの姿もあった。

 ヘンリエッタの部屋に来るついでに、レグルスがリアにも声を掛けていたのだ―。



「レグルス、余達に何か聞きたい事でもあるのか?」


「あぁ、少し二人に聞きたい事がある……」


「…おそらく魔軍の事でしょうね」



 流石だなヘンリエッタ、これだからカンのいいガキは苦手だぜ……。



「あぁそうだ。だから率直に聞くが、この世界で過去に魔軍が国を襲ったって事件はあったか?」



 すると、リアとヘンリエッタは互いの顔を見合うと即決で答えた。



「ないわの!」

「ないです!」



 ……やっぱりそうか。



「そもそものお馬鹿なゴブリンやオークなど、国へ進軍する事すら考えつかんヤツらだからの!」


「…あたしも、これまでこの世界の歴史の本を数多く読んで来ましたが、これまでに魔軍と言う……闇の竜騎士などと言う存在も一度も歴史上には出て来ていませんね」



 ─だとすると、俺の思ってた通りこれはこの世界のシナリオやイベントとは一切無関係の出来事ってことになるよな……。


 そうなるとやっぱり、誰かが意図的にこの帝国をとしてるって事になるよな?

 でも一体誰なんだ……俺が知る限り、帝国に敵対してるキャラ達はけっこういるが、魔軍まで率いて来る様なキャラクターなんて原作ゲームには一人も居なかったぞ?



「…で、レグルスはどうするつもりなのだ?」


「ん? どうするつもりって何がだよ?」


「…決まっています……あなたもアーデルハイト達と共に戦うのですか?」



 あぁーそうだったな……俺、今だって事すっかり忘れてたぜ……。



「まぁ、俺は魔軍ってのに興味があるからな。特に闇の竜騎士ってのには直に会ってみたいもんだぜ!」


「フッ、帝国中の皆がうろたえておると言うのに……レグルスはいつも呑気なものだな」


「…まぁ、レグルスらしいと言えばレグルスらしいですけどね……」


「っで、二人はどうするんだ? アーデルハイトと一緒に戦うのかよ?」


「うむ。余は帝国の護りと、兵士達が負傷した際の治癒を頼まれておるからの! 上手くやれば、アーデルハイトが褒美をくれると言うておったし!」


「…あ、あたしは本当は引き篭っていたいのですが……状況が状況なので……皆が戦っている中でひとり引き篭るのは不謹慎でしょうし……」


「お、ヘンリエッタも戦うのか! だったらを渡しておかねーとな」



 そう言ってレグルスはヘンリエッタにを渡した。



「……レグルス、これは一体何の杖なのですか?」


「それは実際に使ってみたら分かるさ! リアに渡したカドゥケウスの杖と同じくらいな杖だから大事にしろよ?」



 さてと―。



 レグルスは立ち上がり腕を鳴らした。



「上等だ……魔軍とやらの実力を、この目にしっかりと見せてもらおうじゃねーか!」




 —————————

 あとがき。

 最後までご高覧頂きまして、ありがとうございます!


【次回】魔軍が帝国へと進軍する!!!


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