蒼月の節「突然の通達」
─闘神オーディンを見事に撃破し、レベルを飛躍的に上昇させたアーデルハイトとギルベルトは、今日も訓練場でレグルスと稽古を行っていた―。
「はあぁぁぁ!!!」
「うおぉぉぉ!!!」
二人の猛攻に、レグルスはいつもの様に木刀で相手をする。
―やっぱ二人共、オーディンとの戦闘からかなり動きが良くなってるな。
まぁ、レベルとステータスの上昇の影響もあるんだろうけど……いや〜自分の仲間の成長ってのはゲームと同じで嬉しいもんだぜ。
するとアーデルハイトが、今まで見せた事のない構えを取った。
「さぁ、受けてみなさいレグルス。これが私の
アーデルハイトは華麗にグングニルの槍を回転させ、そのまま勢いよく下方から槍を払い上げた。
「薙ぎ払い!」
おー! やるねぇアーデルハイト。でもまだまだ─。
レグルスはアーデルハイトの攻撃のタイミングに合わせ、空高く跳躍した。
そして、アーデルハイトの槍はレグルスのすぐ後ろへと立っていたギルベルトの
「はうっ……!!!」
ギルベルトはその場へ倒れ込んでしまった―。
「ちょっ、ぎ、ギルベルト!?」
「あーあ、最低だなアーデルハイト。ギルベルトの
「ば、馬鹿な事言わないでよっ! 大丈夫? ギルベルト、ごめんなさいね……」
「アー……デル……ハイト……様……」
ギルベルトはそのまま気を失ってしまった―。
★☆★
―ギルベルトはあの後、兵士達によって医務室へと運ばれていった。
どうやら、
俺はいつもの様に、アーデルハイトとテラスでお茶を飲んでいた。
「はぁ……せっかくオーディンを倒してかなり強くなったと思ってたのに……あなたを前にすると全く強くなった気がしないのだけど?」
「そりゃそうだろ。強くなったって言っても、俺の足元から尻くらいの強さになったって程度だからな! まだまだ半分にも満たねーよ」
アーデルハイトは再びため息を吐きながらお茶を飲んだ。
すると、メイドの一人がアーデルハイトに一枚の手紙を持って来た。
「失礼致しますアーデルハイト様。御通達が届いております」
「ありがとう。あら? 何かしら……」
アーデルハイトはその場で手紙の中身を読んだ。
すると、
「ん? どうしたんだ、アーデルハイト?」
「…そうよ、すっかり忘れていたわ……」
「だから何なんだよ? 何かまずい事でも書いてあったのか?」
すると、アーデルハイトは急に真剣な表情になり、レグルスの顔に近づいて言った。
「レグルス……あなた、私と一緒に
★☆★
―エリスリーゼ帝国学院。
エリスリーゼ帝国に住むその年から十八歳になる少年少女に送られる入学の通達。
ただし、この通達は誰にでも送られて来る訳ではなく、帝国の中でも比較的優秀で才能ある若者にしか送られない。
まさに、将来有望なエリートの集う学校だ。
現帝国の皇女であり、未来女帝となるアーデルハイトはもちろん、兵士として申し分のない素質を持つ貴族のギルベルトにも学院からの通達が届いていた―。
「俺が学校へ入学だと!?」
「えぇそうよ。大丈夫よ、私もギルベルトも一緒なんだから」
「ば、馬鹿言うなよ! 今更学校なんて行けるかよ!」
「は? 何言ってるのよ。あなた今
「おいおい勘弁してくれよアーデルハイト…俺、学校なんか行きたくねーよ。ってか、今更無理だろ? 俺が入学とか」
「ふふふ、大丈夫よ。あなたの強さは私とギルベルトがよく知ってるから。私があなたの推薦状を書けば何の問題もないわ」
「そりゃねーぜ……ったくよぉ」
何で異世界転生までして、学園生活せにゃならんのだ!
俺は前世の時から学校ってのが大嫌いだったからな。
畜生! まさかこんな事になるとわ……。
レグルスは一人頭を抱え込んでいた。
―あれ、ちょっと待てよ?
レグルスは急に何かを思い出し立ち上がった。
「おい、アーデルハイト。その学校の入学って
「な、何よ急に。入学は次の節、
―しまった、もうそんな時期か! すっかり忘れてたぜ……。
「なぁアーデルハイト、その推薦状だが
「あなた意外の? 誰か入学させたい人でも居るの?」
「あぁ。どうしても入れたい……いや、
レグルスのいつにも無い真剣な表情に、アーデルハイトの態度も変わった。
「いいわ。でも後
たった二人だけか……でも、この際贅沢は言ってられねーな─。
「あぁ、二人で構わねぇ。頼むぜアーデルハイト!」
レグルスは珍しく額から汗を流す程に焦っていた。
絶対にあの二人は仲間にしないとダメだ…じゃないと最悪……いや、ほぼ確実に
—————————
あとがき。
最後までご高覧頂きまして、ありがとうございます!
【次回】レグルスが仲間にしたい重要人物達とは!?
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