桜花の節「圧巻の戦闘」
レグルスは、敵国であるエリスリーゼ帝国を目指していた。
広大な草原を、疾風の如く駆け抜けた。
レグルスのLv100のステータスの恩恵なのか、帝国を目指してけっこう経つが全然疲れない。
やはり、体力と素早さがカンストされたこの体は、常人と比べると明らかに強いのだろう。
「前世の俺は、ずっと部屋に引きこもってたからヒョロガリで軟弱な体だったからなぁ……」
こうして広大な大地を太陽に照らされながら、風のように走り抜ける事が出来るなんて思いもしなかったぜ。
この全てのステータスをカンストした肉体こそが、最強の主人公と呼ばれるレグルスの強さのひとつなのだが、真の強さはその
——〝
この世界でただ一人、レグルスしか持ちえないスキル。
その能力は、自分自身の強さを仲間に同調する事が出来る。
つまり、Lv100のレグルスの強さを仲間にも与える事が出来る、まさにチート能力なのだ。
更に、スキルを発動した状態でレグルスが経験値を獲得すれば、仲間にも経験値が入る仕組みだ。
原作のゲーム攻略では、レグルスのスキルを応用して仲間のレベル上げが流行していた。
「俺もこのスキルで、仲間のレベルを底上げしたっけなぁ。まぁ、この世界でスキルを使う機会があるかは知らんけど……」
すると、前方に森が見えて来た。
だが、何やら森の上空を何かが飛んでいる。
レグルスはよく目を凝らして見ると、なんとそれは巨鳥の魔物だった。
「…アレって、初期に出て来る面倒くさい巨鳥じゃん! あいつ、めちゃくちゃしつこく追いかけて来るんだよなぁ……」
まだレベルの低い序盤の時は、森の中に隠れてチクチクと攻撃しながら倒してたっけな─。
「まぁ今のレベルなら全く問題ないし……よし、いっちょ試してみるか!」
レグルスは静かに、そして素早く歩を進めながら森の中へと入った─。
上空では、巨鳥が大きな叫び声を上げながら旋回していた。
さすがに生の巨鳥は迫力がゲームとは全く違う。
俺がこの体じゃなかったら、とっくに逃げ出していただろうな―。
レグルスは巨鳥の真下に止まると、大きく息を吸い込み腹から声を出した。
「おーい! こっちだ!!!」
「クアアアアアッ!?」
すると、巨鳥が上空から森の中へと急降下して来た。
——よし、来たな!
巨鳥は、レグルスのすぐ目の前へと舞い降りた。
大きな翼の羽ばたきが、まるで突風の様に周りへと吹き荒れる。
「ヒュー! 凄い風圧だな」
腕で顔をガードしながらも、巨鳥に視線を合わせる。
「…さて、転生後のはじめての魔物との戦闘だ。一体どんな感じなんだろうな……」
俺は内心ワクワクしていた。
そして鞘から剣を抜き構えた。
生まれて初めて剣を持ったが、これもレグルスの身体のお陰なのか、不思議と手にしっくり来た。
そうこうしてるうちに、巨鳥は鉤爪をこっちへ向け突進して来た。
俺は攻撃の瞬間と同時に、一瞬で巨鳥の背後へと回った。
身体がめちゃくちゃ軽い……よし、これなら―。
「くたばりやがれっクソ鳥め!」
―ズバッ!
振り下ろした剣は、巨鳥を真っ二つに斬り裂いた。
まるで豆腐を切る様な手応えだった。
さすがLv100の筋力と伝説の剣の斬れ味だぜ。
このレベルの体と装備なら、俺は本当にこの世界では間違いなく世界最強の主人公だろうな……。
それに、思った以上に自分の身体がよく動く。
気持ちも安定してるし、この世界での戦闘は何の問題なさそうだな。
改めて感じるレグルスと言う主人公の強さ―。
「しかし、こんな最強の俺様を追放するなんて、ほんとバカな王国だぜ……」
レグルスは再び帝国を目指し、森の中を駆け抜けた─。
★☆★
─翌日。
レグルスはついに、エリスリーゼ帝国の目の前までやって来た。
幸いアイテムはたんまり持っていたので、飲食や回復アイテム等の心配はまったく無かった。
というより、やはりレグルスのこの身体が異常過ぎた。
本来であれば、帝国へは数日はかかる距離なのだが、僅か一日で到着出来てしまったのだ。
「…さて、問題はここからどうやって帝国軍へと入るかだよなぁ……ん?」
前方に見える、花畑の中に人影が見える。
「…あれは? いや、まさかな……」
しかし、あの輝く金髪のロングヘアーに真紅の派手な服装には見覚えがあった。
半信半疑になりながらも、レグルスはゆっくりと花畑へ歩を進めた。
そして、近くの木の陰からこっそりと顔を覗かせて見た……。
すると、その容姿端麗な顔は、間違いなくラスボスの
おいおい、もうラスボスと遭遇かよ!? どうすんだよ俺─?
—————————
あとがき。
最後までご高覧頂きまして、ありがとうございます!
【次回】ラスボスアーデルハイトに謎の影が迫る!?
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