追放された最強の主人公とラスボス!

楓 しずく

第一章 追放編

桜花の節「最強の追放」



 レグルス=レオンハート。


 この物語の主人公にして、最強の英雄。


 更に容姿端麗で、まさに非の打ち所のない男だ。


 しかし、レグルスは初めから完璧だった訳ではない。


 レグルスは貧民街の出身だった。

 そこから王国軍へと入団し兵士として働きながら、幾度の戦場で活躍しその名を徐々に上げて行ったのだ。


 まさにドン底からの成り上がり系主人公である。


 そして最後は、ついにラスボスである帝国女帝、アーデルハイト=フォン=シュパーニエンと戦う事となる。


 レグルスは、将来世界を破滅へと導く帝国軍の侵略を仲間と共に最前戦で戦い見事に防いで見せた。


 そして、女帝アーデルハイトをその手で討ち取り、王国の英雄として語り継がれるのであった。



 それがこの原作ゲーム最強の主人公、レグルスの物語となるはずだったのだが─。




 ★☆★




「…まさかこの俺が追放されるとはな……」



 男はひとり、門の外でぼやいていた。



「なんで最強の主人公の俺が、王国から追放されるんだよっー!!!」



 大声で叫ぶこの赤毛の美少年こそ、原作ゲームの最強の主人公であるレグルス=レオンハートだ。



「はぁ……畜生! あのハゲ王めっ!!!」



 ─俺は気がついたら、このゲームの世界に転生していた。


 最後に残っていた記憶は、この世界の元となっているファンタジーRPGゲームの原作知識と、夜中にラスボスである女帝アーデルハイトを倒した時の映像だけ。


 ようやくレグルスをLv100まで育成して、鬼畜難易度のラスボスを倒したかと思ったら、突然目の前が真っ黒になり、気がついたらレグルスに転生していたのであった。


 レグルスはこの原作ゲーム最強の主人公だ。そして彼……つまり俺は、いずれこの王国の英雄となる。


 俺はこの世界へ転生して、両手を上げて喜んださ。

 何せ、物語のイケメン主人公で男なら一度は憧れる英雄になれる絶好のチャンスなんだからな。


 ―けど、予想外の出来事が起きた……。



「お前、わしにタメ口きいたからこの王国から追放な!」


「…………は?」



 まさかの王様からの王国追放宣告。


 俺はついうっかりと、王様にタメ口をきいてしまったのだ……。


 でも、そんな事で追放までするか普通?



「どんだけ頭の沸点低いんだよアイツ……」



 俺はがつくほどこのRPGゲームが大好きだった。

 だから、この世界に転生して本作嬉しかった……なのにだ。



「クソっ! せっかく夢のファンタジー世界に転生したってのに、こんな追放スタートとかやってられるかよ!!!」



 おそらく今は桜花の節、レグルスは十七歳。


 原作のストーリーだと、まずレグルスは王国軍へ入団し、そこで二年間は兵士として戦場で戦い仲間と出会いながら名声を上げて、更に四年後の帝国軍との戦争に備え、最後は帝国でラスボスを倒して王国の英雄になる物語となるはずだった─のだが。


 王国軍へと入団する前に、まさかの王様から追放されてしまい、結果今に至る。



「畜生……虫の居所が悪過ぎる……こうなったら——ラスボスの仲間になるか」



 突如閃いたアイデアは、なんと敵である帝国軍へと入団する事だった。



「もうキレた! もう俺キレちゃったもんね! 最強の主人公であるこの俺様を追放した王国なんて、もうどうにでもなれってんだ!!!」



 物語の主人公とか、王国の英雄とかそんなのもう全部面倒くせぇ。

 それに帝国は王国よりも裕福な国だ。上手く行けば王国に居た時よりも贅沢三昧が出来るかもしれないぞ……。


 よし、そうと決まれば善は急げだな。



 俺を追放した国とはおさらばだ!



 そう言い残すと、レグルスは帝国へと出発した─。




 —————————

 あとがき。

 最後までご高覧頂きまして、ありがとうございます!


【次回】レグルス、この世界ではじめての戦闘!


 少しでも「面白い!」「追放の理由に笑った」「続きが気になる!」と思った方は、フォロー、★評価、レビューをして頂けますと作者の励みになりますので何卒。


【お知らせ】本日から筆者の新連載がはじまりました!ファンタジーミステリ作品となっておりますので、そちらの方もどうかご愛読の程よろしくお願い致します!




 

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