シスターと赤竜

俺とノエルさんとソフィの三人で聖王国に戻ってきた

マリアート様の運営する修道院にソフィさんを送り届けマリアート様に事情を話すとソフィはここで修行をする事になり シスターになるべく頑張るそうだ

ここはマリアート教の総本山があり 住み込みで牧師見習いやシスターが大勢修行していて ここから多くの土地へ派遣される

一か月程してソフィが俺達のパーティーハウスにやって来た

丁度 チェンズの三人もいてソフィが助けてもらった時のお礼を改めて言っていた

ソフィが三人と話していると そろそろ夕飯の時間になったので 作り始める

「ソフィさんも 三人も食っていくだろ?」

「え?いいんですか?」「食べるー」それぞれ答える


「シリウスさんは 前は料理人だったのですか?」食事をしながらソフィあ聞いてくる

「いや 孤児院を出てから ずっと冒険者だよ」答えると

「だって お兄さんのご飯は美味しすぎる!!」ハイジが言い 賛同した他の二人も頷いている

「そうか ありがとう たくさんあるからあ一杯食べてね」照れて言うと

「やはり 私の伴侶はシリウスしかいない!!」ノエルさんがいきなり立ち上がって

俺を見ながら「私は決めたぞ!!」俺の肩を掴んで真直ぐ見てくる


何故かノエルさんの家族に会う事になり 国を出る旨をクロノス王に言いに行くと

マリアート様も一緒にいて

「途中までシスターを一人連れて行ってくれんか?」と頼まれ快諾する


 次の日「この度はご一緒させて頂けるとの事 真にありがとうございます」シスターのエリルさんに頭を下げられ 慌てて「気にしないで下さい」荷物を積みながら返す

「基本の修行が終わったので 郷里の教会で勤めさせて頂く事になりまして ただ女の一人旅になるのでマリアート様を含め皆さんに止められていました」


ノエルさんとの二人旅なら 俺の背中に乗ってもらって早く行けるのだが現女神から頼まれたら断るという選択肢はない

道中 やはり魔物や兵士崩れの野盗が出てきたが問題無くエリルさんを教会まで送り届けて 着いて早々に炊き出しを行う この町も少し荒れているようで炊き出しには沢山の人が並んだ ここにもマリアート像の後ろに転移陣を描いておいた 何かあったら直ぐに聖王国に行けるようにしておく

炊き出しに来てる人から隣町に赤竜が出て困っているらしい話を聞いた

赤竜かー 一応ブラドさんに聞いておいた方がいいかな?と思い転移陣で聖王国に戻る ブラゴさんに会いに行き赤竜の事を相談してみる

「赤竜ですか? 悪さをしているなら討伐して構いませんよ」ブラックドラゴンのブラドさんに言われたけど いいのかな?

急いでエリルさんの教会に戻り ノエルさんと赤竜討伐の相談をして 翌日には隣町へと向かった 何か魔物が多いような気がしながらノエルさんを乗せて走り続ける

流石にフェンリルの俺にチョッカイを出す程の強力な魔物はいないが 町の人達には脅威だろうな

町に近づくと 黒煙や砂埃が舞い上がっている 赤竜が暴れているのか?

町に入ると直ぐ目の前で赤竜が火を吹き 家々を踏みつけて壊している


一先ずノエルさんを降ろし フェンリルのまま赤竜の翼の根元に噛みつき 肉と骨を噛み千切る 赤竜は咆哮し俺に首を向けるが その時にはもう俺は反対の方の翼に噛みついている こちらも根元の肉と骨を噛み千切る これで空は飛べまい

気を抜いてたら いきなり尻尾が飛んで来て 赤竜の背中から弾き飛ばされる

「キャン!!」情けない声を出してレンガ作りの家に叩きつけられる

「シリウスー!!大丈夫か?」悲痛な声を上げてノエルさんが走ってくる

肺の中の空気が出てしまって返事ができないでいると

「おのれー よくもシリウスをー」叫びながら赤竜の胸元に飛び込んでいく

今まで見た事も無い程 身体能力が上がっている

「百花繚乱!!」赤竜の胸元で剣の煌めきだけが見える

あの硬い赤竜の鱗を容易く切り裂き 赤竜の吹き出す血の雨の中 剣の煌めきだけが舞っていた

やがて赤竜は崩れ落ち 狂戦士化したノエルさんが仁王立ちで見下ろしている

ハッとして俺の方に駆け寄り人の姿に戻った俺を抱き上げる

「うう……シリウス 死なないで」泣きながら強く抱きしめる

「大丈夫ですよ ノエルさん まだ死なないですよ」細い声で答えると

「わーん シリウス!!」ボロボロ泣いているノエルさんの体に手を回す


 教会に行き 怪我人の確認をするが多すぎる ここのシスターは聖王国で修行中らしい マリアート像の後ろに転移陣を描いてまた聖王国に戻る

クロノス王とマリアート様に赤竜を倒した事を報告し 町の惨状を伝える

「確か ユリアがあの町の出じゃな ユリアはほとんど修行も終わっているし連れていくがよい」呼ばれたユリアさんを連れて戻り 二人で怪我人の対応に当たる

赤竜の素材は町の復興の為に使って欲しいと神父様に話し ユリアさんには転移陣の使い方を教えておく

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