チェンズ
ハイジ クラリス ラテのパーティー「チェンズ」は クロノス旅団に属したまま 独自に活動をする事になった
ラテはS級ダンジョンに行く前に身分証明代わりになるだろうと冒険者登録をしていたので 魔人討伐の功績でランクもBに上がっている ハイジ クラリスはAランクのままだ
ラテの経験の為 チェンズはBランクダンジョンからのアタックから始めた
ラテが斥候 ハイジが攻撃 クラリスが後衛からの魔法攻撃・回復役の布陣で挑戦しているそうだ
Bランクのダンジョンを二つ程踏破した後 聖王国に帰る為 ある街に滞在していた
市場で買い出しやお土産を見ていると「キャー 止めて 痛い 痛い」女の子の叫ぶ声が聞こえてきた 三人で見に行くと 女の子が小汚い男たちに暴力を受けていた
「おい!! 止めろ」周りの人々は止もせず傍観している中 ラテが大声でっ叫ぶ
「なんだ? 手前は?」いきなり頭を掴まれバンダナが取れてしまう
エルフの耳が露になったラテを見て「こいつ エルフじゃねえか!! こいつの方が高く売れるぜ」 そう言うとラテの腹に拳をめり込ませる ラテは気を失いそのまま担がれて連れ去られてしまった
ハイジとクラリスは暴力を受けていた少女を助け治療した後 ラテの跡を追うが見失ってしまう
「どうしよう?」クラリスとハイジは顔を見合わせて考える
ラテはまだ念話が使えない
「旅団の皆に相談しよう」ハイジが言うと「そうね 私達だけじゃ解決出来ないし」クラリスも賛同する
魔力の高いクラリスが念話を送る
「旅団の皆 助けて!!」
夕飯を取ってる時 一番最初に気付いたのは母ちゃんだった 立ち上がり怖い顔をして念話に集中している 俺等にも念話は聞こえていたが
「シリウス タンバの街というのはここから どっちの方角だ?」
俺には途切れ途切れだが 母ちゃんにはハッキリと聞こえているんだろう
地図を出しタンバの街を指さす 聖王国を出て東に行ったところだ
「行ってくる」一言残して母ちゃんは出て行った
「待ってろ 今行くからな」母ちゃんの念話をハイジに伝え クラリスとハイジは母ちゃんを待つことにする
夜になって 月が昇った頃 母ちゃんがざわめく街の人々を気にする事も無く
猛スピードで二人に近づいてきた
「母ちゃん!!」二人は母ちゃんに抱き着く
「それで ラテはどっちに連れて行かれたんだい?」
「多分 向こうの方だと思う」
母ちゃんは頭を上げ 鼻をクンクンとしてラテの匂いを探している
「二人共 私に乗りな」母ちゃんは匂いを追って走り始めた
一方その頃 ラテは手足を縛られ床に転がされていた
見張りの男の隙を突いて体当たりをするが男は軽く避けただけでラテは頭から床に突っ込んだ 口の中が切れたのか鼻血と口から血を流しながらもぎこちなく立ち上がり
再度 体当たりをするが正面から受け止められ「あんまり騒ぐなら商品でも容赦しねえぞ」叫んでラテを殴ろうと拳を上げる
殴られると思って目を閉じたと同時に ドガンと入口が破壊された音が聞こえた
目を開けるとフェンリルが殴ろうとしていた男の右肩を食いちぎっている
「ウギャアアアー」悲鳴を上げると 二階にいた仲間がドカドカと降りてきた
「「何ごとだ?!」」ラテ達を見ながら喚く
母ちゃんは人の姿になり
「私のかわいい子供を攫ったのはお前等だね!!」言うと同時に男達の右腕 左足が
吹き飛んだ バランスを崩した男達がゴロゴロと階段を落ちてくる
ハイジが縛られた縄を解き クラリスが回復をかける
「大丈夫だったかい?怪我はしてないかい?」母ちゃんが優しくラテを抱きしめてくれる
「か 母ちゃん!!」緊張が解けたのか母ちゃんの胸の中でワンワンと泣きじゃくる
「じゃあ 帰ろうか」母ちゃんが言って出て行こうとする
「これ どうする?」ハイジが聞くと
「どうもしないよ そのままでいいだろう 私の子供に手を出したんだから」
血をまき散らしながら呻く男達を冷たい目で見て 壊れたドアから出て行く
次の日 母ちゃん含めて全員聖王国に帰ってきた
帰ると直ぐにラテに念話の訓練をしてラテにも念話が使えるようにした
それと ギルドに入り浸って他の冒険者に摸擬戦や訓練に没頭している
弱い自分が許せないのだろうなと考えつつ 俺も摸擬戦の相手をしている
ハイジ クラリスも併せて訓練をしていた
それから 三か月程して再度アタックの旅に出た 母ちゃんは心配して夜もあまり眠れなそうだ まあ 大丈夫だよ と母ちゃんを元気づける チェンズには必ず定時連絡をするように強く言ってあるから
半年ぐらいで三人は帰ってきた 見違えるように逞しくなっていた
いろいろ話を聞きたかったが「先ずは風呂に入りたい」言って風呂に行ってしまった
風呂から帰ってきた三人を交えて夕飯を取る
今回は母ちゃんの方が三人に纏わりつく よっぽど安心したんだろう
三人は母ちゃんの背中を撫でながら数々の武勇伝を披露してくれた
Bランクダンジョンを三個踏破した事 どこかの貴族を盗賊から助けた事 魔獣に襲われていた商人を二度助けた事 楽しそうに話してくれる
そんな話を聞きながら俺達も幸せな気分になり夜も更けていく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます