(自称 スケコマシ)の召喚魔人のヤブ

サラマンダーが消えた後に宝箱が出た

試しにラテに開けさせると「盗賊のバンダナ」というのが出てきた

いつも巻いている布を取りバンダナを巻くと ハイジとクラリスが「「似合う~」」と二人でラテを囲んでいる

奥に階段を見つけ 降りていく 降りると靄のかかった空間に出た

俺が一歩中に歩こうとすると「止まって下さい シリウス兄さん」ラテが叫ぶ

止まると いきなり目の前にでかい岩が落ちてきた

「ハイジパーンチ」ハイジが岩を砕くと 奥の方に人影が見えた

「シリウス兄さん!!気を付けて下さい この部屋罠がそこら中に仕掛けられてます」ラテが教えてくれる 多分 「盗賊のバンダナ」の効果だろう


今までダンジョンの罠は俺の防御魔法と力まかせに突破してきたが この部屋の罠は

それじゃ厳しいかもしれない

「ラテ!! 罠の解除も出来るか?」罠を見抜くなら解除もできるんだろうか?

「やってみます」ラテが走り出てあちこちを弄って周る

「大体の罠は解除出来ました」ラテが汗を拭きながら報告してくる

ラテを先頭に奥に向かって行くと

頬のこけた陰湿な目をした男が椅子に座り 両側を冒険者や魔導士の服を着た女性が佇んでいる

「俺は異世界から召喚された(自称スケコマシ)のヤブだ ここまで来るとは大した奴だな」ヤブが言った直後に俺の額に何か当たった

「さあ プレートを着た女はこっちに来い 小娘二人はそのガキと男を殺せ 俺はロリコンじゃなく熟女好きだからな ケケっ」

ノエルさんはフラフラとヤブの方に歩いていく ハイジとクラリスは目の光が消え ナイフを手に持ち俺とラテに近づいてくる

[しまった 魅了か?]

取り合えず俺とラテには防御魔法をかける さすがに母ちゃんにには効いてないみたいだが

ハイジアとクラリスは涙を流しながら唇を嚙み締め一歩一歩近づいてくる 心の中で葛藤しながらも体が勝手に動いてるみたいだ

ノエルさんはヤブの目の前まで行くと 剣を差し出し片膝をつく

「どうだ 信頼していた仲間や恋人に殺される気分は?」

部屋の端に積み上げられている男性冒険者の死体を見ながら「ケケケェ」と薄気味悪く笑う

すると ノエルさんがいきなりヤブの目を横なぎに切った 「ウギャー」ヤブは悲鳴を上げ横に転がる

それで「魅了」が解けたのかハイジとクラリスがナイフを捨て泣きながら俺とラテに抱き着く

「ごめんなさい お兄ちゃん ラテ 頭じゃ駄目だと分かっていたのに体が勝手に動いちゃって」

「よくも 大事な家族に!!」ハイジが転がってるヤブに蹴りを入れ クラリスが風魔法で切り裂く

「な なんでだー?」ヤブが喚くが

「残念だったな さっきのサラマンダーの戦いで私のスキルが進化して「シリウスでいっぱい」になったのだ 貴様ごときが入り込む余地はないわ!!」ノエルさんがドヤ顔で言うが「ば 馬鹿な!! 世界中の女は俺に夢中になるはずだ!!」ヤブが叫ぶが

「お前みたいな気持ち悪いのに惚れる女なんかいるか」ヤブの頭を蹴り上げながら反論する 「魅了」にかかっていた女性達も正気を取り戻し ヤブに涙ながらに短剣を刺したり魔法を打ち込んだりし始めた 恋人や仲間を殺してしまった時の記憶はあるのだろう 攻撃を受け続けて そのうちヤブは動かなくなった

ヤブの体が消えた後宝箱が落ちた ノエルさんが開けてみると「勇者の剣」が出てきた

奥へ進むのは止めて 女性冒険者達を地上へ送り届ける

ギルドでの説明に俺らも加わり彼女らを擁護する

彼女らは無罪放免となり彼女らに今後についての話になる

酷いトラウマを植え付けられ 

あんなのに操られていたのが自分自身で許せないようで 今は何も考えられないそうだ

中には 修道女になって罪を償いたいという者もいた

彼女達の事はギルドに任せて 探索を続けるか話し合う

コアを破壊すればダンジョンは消滅する となればこの町の活気は無くなるだろう

何も特産品の無いこの町では大打撃だろう そういう訳で今回は魔人を倒した事でよしとしようという事になった

ラテは魔人との闘い以来 何か考えているようだ


聖王国に戻り クロノス王に今回の件を報告する

「魔人はどこにでも現れるんだね あと何体いるんだろうね?」王も渋い顔をして呟く

「カワカミが三体と言ってましたから 残りは一体と思われます」

「何処にいるか分かればこちらから仕掛けられるのにね」

王の言う通り居場所さえ分かれば こちらから討伐に行くのに

あれこれ考えてもしょうがないので 国王の前から辞去する


S級ダンジョンから帰って来て 数日たったある日昼食の後片付けをして出来たばかりの家の庭で椅子に座り本を読んでいると ラテがやって来た

「シリウス兄さん 相談があるんだけど」おれの横に来て話しかける

「何だい?ラテ」本を閉じラテを見ると

「僕 冒険者になりたいんだ!!」意を決したように言う

「何で なりたいんだい?」

「この前 魔物に襲われていた馬車を助け 魔人に攫われた人達も助けたじゃない 当たり前のように」キラキラした目で俺を見てくる

「そう 当たり前のように 凄くカッコ良かった 僕もあんな風に当たり前に人を助けれるようになりたいんだ!!」

「そうか やりたいならやってみると良いよ」頭を撫でながら言うと

「僕 なれるかな?」不安そうに聞いてくるが

「なれるかな じゃなくて なるんだろ!!」優しく目を見ながら諭す

「うん!!僕はなる 人を当たり前に助ける冒険者に僕はなる!!」

力強く頷いて拳を握りしめる

「ありがとう シリウス兄さん」 吹っ切れたように足取り軽く帰って行く


その夜 ハイジ クラリス ラテの三人で「チェンズ」というパーティーを結成したそうだ

  



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