大事な話とS級ダンジョン
「幻惑の法術」が消えてる間に俺達は迷うことなく樹海を抜け出た
樹海を抜けてすぐの所で馬車が魔物に襲われていた
しょうがないので助ける 豪華な服を着た女性が馬車から降りてきて お礼を言うが
「ああ 気にしないで」ノエルさんが言って 俺達はS級ダンジョンに向かった
ダンジョン近くの村に立ち寄ると 多くの冒険者がいて 皆S級ダンジョンを目指しているようだ 急遽設立されたギルドに寄り 情報を貰う 未だ踏破はされていないらしく 三階層が最高到達点らしい
「おらおら ガキ共が邪魔なんだよ」お約束通りハイジ クラリス ラテの三人が冒険者に絡まれている 酒臭い息を吹きかけながら喚く冒険者にハイジがおもむろにパンチを見舞う 吹っ飛んだ男をクラリスが「拘束」で縛り上げる
「て 手前 何しやがんだ?!」仲間っぽいのが三人に近寄るが 父ちゃんと母ちゃんが三人の前に出て「わしらの子供達に何か用か?」殺気を向けながら男達を睨む
「あ あああ」男達は腰を抜かして股間を濡らす
まあ フェンリルに本気の殺気を向けられたら誰でもああなるよな
「「「ありがとう 父ちゃん 母ちゃん」」」子供達はじゃれつきながら二人に礼を言う
この町から歩いて半日の場所にダンジョンはあるらしい 今日は一旦休んで明日からの攻略に決め 宿を取る ダンジョンのお陰か冒険者や商人が街に溢れている
夕飯を終えてハイジ クラリス ラテに大事な話があると言って呼び出す
「大事な話って何?」ハイジがキョトンとしながら俺に聞いてくる
「俺や父ちゃん 母ちゃんに潜り込む時は裸じゃなくていい 前にハイジには言ったよね?」
「ああ うん 言われた」ハイジがバツが悪そうに答える
「じゃあ 何で今も裸で潜り込むんだい?」優しく聞くと
「だって 裸じゃないと安心出来ないの!! 体全体を包まれて守られてる感じがするの 服を着て潜り込むと 何か違和感があるの ごめんなさい」ハイジの言い分にクラリスもラテも頷いている
「謝らなくていいよ 理由はわかったよ」俺が言うと
「じゃあ これからも裸で潜り込んでいいの?」ハイジ達が目をキラキラさせながら聞いてくる
「いいよ」俺との約束を破っていたのが後ろめたかったんだろう 跳ねながら喜んでいる まあ 三人の境遇を想えば仕方ないか 父ちゃんにも諦めるように言っとこう
ノエルさんも そんな感じなのかな?
朝になって 飯の準備をしながら今日の予定を考える 取り合えず攻略してある三階層までいくとするか
皆を起こし朝食を済ませ 今日の予定を説明する
町の外に出て いつものようにフェンリル姿の俺達にノエルさんと子供達を乗せダンジョンまで走り出す
ダンジョン入口付近で俺だけ人の姿に戻りギルド出張所で受付をする
S級ダンジョンになると力の無い者も一攫千金を夢見て潜って戻って来ないというのが多いらしく入口での許可制になっている
無事 許可を取り ダンジョンに潜る
おお!!一階層からオーガか なかなかにえげつないダンジョンだな
でも ノエルさんとハイジの敵ではないな 父ちゃんと母ちゃんも生暖かく見守っている クラリスはラテと今日の晩御飯を何を食べるか話してる
三階層までの地図はあるので階段を見つけてサクサク進んでいく
二階もオーガしか出て来ないので ノエルさんとハイジは飽きてきたみたいだ
三階に降りるとフルアーマーの騎士みたいな魔物が出てきた ノエルさんが斬り付けるがカキンと音がするだけで傷一つ付かない ハイジがパンチを叩きつけるがほんの少し窪みができるだけでダメージは入ってないようだ
クラリスが風魔法で関節部分を狙ってバラバラにするも モゾモゾと胴体を中心にして各部分が集まり復活してしまう
これは面倒だな だからこの先は誰も行ってないのかな? どうしたもんか?
そうだ 昔ドワーフの爺さんに金属は雷に弱いと聞いた事があるな
復活した全身鎧の魔物に雷魔法を打ち込む 魔物は一瞬青く光り崩れ落ちる
この階の魔物は 俺が雷魔法で全て駆逐した 地図を作製しながら探索して階段を見つけ 四階層に降りる
四階層は火蜥蜴だった 全身に炎を纏ってるのでノエルさんの剣と俺の風魔法で切り刻んで倒す
五階層への階段の前にはサラマンダーがいた でかいし纏っている炎も離れていても肌がチリチリするように熱い こちらに気付いて火球を口から放ってくる
「防御」皆を包むように防御魔法を展開し防ぐが 逸れていく熱気だけでも息が出来ないぐらい熱い
「クラリス!! あいつの喉 腹 尻尾の付根に「大地の針」を刺してくれ」俺が叫ぶと「分かった!!」クラリスが「大地の針」と唱えると三本の杭状の物がサラマンダーを貫き空中に持ち上げる 炎を吐こうと口を開けようとするが口の中に炎が見えた瞬間を狙って 俺は結界を張ってサラマンダーの口先に飛び乗り上から剣を突き刺す
吐こうとした炎が口の中で爆発しサラマンダーの鼻 眼 耳らしき所から火が噴き出す 自分の炎で頭を焼きバタバタしていた足がダランと力を無くし 身に纏っていた炎も消えた
「ん?!」ノエルさんが声を出す 俺が何かあったのか聞くと「いや 何でも無い」ニヤニヤしながらも答える
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