樹海のオニと一つ目巨人
結構な強行軍で飛ばして来たので 聖王国を出て三日目には樹海の入り口まで来ていた さて 何か獣道なりなんなり通れそうな道を探す
少し樹海の中に入った所で 何かがうずくまってるのを見つけた
「人か?」俺が言うと
「オニ族じゃないか?」父ちゃんが答える
ノエルさんが俺から飛び降り「おい!! 大丈夫か?」言いながら抱き上げると人間ではあるが 両側の髪の生え際から角が出ている
「う ううう……」小さく呻きながら目を開ける
「どうした? 何があった?」ノエルさんが心配そうにに聞いている
「あっ!!」完全に目が覚めたらしく俺達を見て驚いている
そりゃ でかいフェンリルに乗った人間を見りゃ驚くよな?
「た 助けて~ 食べないで~」恐怖しながら声を震わす
「落ち着いて このフェンリル達は人を襲ったりしないから!!それより 君は何故こんな所で倒れてたんだい?」ノエルさんが背中を摩りながら聞く
「あ 本当ですか?」立ち上がるがふらついて また座り込む
クラリスが降りて「治癒」と唱える 傷と疲れはとれたみたいだが まだ顔色が悪い
俺は人型になり母ちゃんの空間収納からパンとスープを取り出し目の前に置く
その子は目を見張ってパンとスープを見ながら「食べていいんですか?」と聞くので
「もちろん たくさんあるからいっぱい食べてね」何故かハイジが得意げに言う
「ありがとうございます」言って ガツガツと食べ始める 顔色も戻ってきたみたいなので 改めて「こんな所で 何をしてたんだい?」ノエルさんがが聞くと
「村に一つ目の巨人が現れて暴れているんです !! それで 聖王国のクロノス王に討伐をお願いしようと向かってたんですが お腹が減って動けなくなったんです」
「一つ目の巨人!?」俺が父ちゃんと母ちゃんに念話で言うと
「多分 サイクロプスだな」父ちゃんが教えてくれる
「あ!! 助けて頂いたのに名前も言ってなかったですね すいません 私はオニ族のユリナと申します」慌てて自己紹介するユリナ
「そうか 私達はシリウス旅団という冒険者パーティーだ」ノエルさんが俺らを見て 紹介する
「「「よろしくね ユリナ」」」子供達が元気に挨拶する
「ここはアデル領だろ 何故アデル王国に助けを求めないんだい?」ノエルさんが不思議そうに聞くと
「私達オニ族は人間からは狂暴だとl嫌われているらしく 多分助けを求めても動かないと言われまして それで 種族関係無く救って下さると噂の聖王国のクロノス様にお会いしようと思いまして」ユリナがうなだれながら説明する
「誰が そんな話を?」ノエルさんが聞くと
「昔 樹海で迷った商人さんを一族の者が助けた事があって 恩に着てひと月に一度
村に来て商売をしてくれるんです その時に樹海の外の話もしてくれて クロノス王の事も聞きました 何か困ったらアデル王国じゃなくて聖王国に行くと良いと」
「なるほど」ノエルさんが頷く
「我々も一応名の知れたパーティーだ クロノス王とも知見がある 先ずは我々でどうにか出来るか様子をみてみよう それと 他のオニ族はどうしたんだい?」ノエルさんがユリナを見ながら聞くと
「一つ目の巨人は四体で現れたんですが 一体倒すだけで村の者は酷い怪我を負って 今は樹海の中に隠れています」
「じゃあ 残りは三体なんだね?」俺らを見回し頷く
「疲れている所 悪いけど案内してくれるかな?」ノエルさんはそう言ってユリナを俺に乗せると自分もユリナの後ろに乗り込んだ
「普段は幻惑の法術で入ってきた場所に戻されるんですが 今は法術の維持も出来ず人も魔物も入り放題になっているんです」
そんな話をしている内に 壊れた家屋や荒れた畑が見えてきた
奥の方では迷い込んだ猪を捕まえたのか サイクロプスがそのまま噛り付いている
口の周りを猪の血で真っ赤にした一体が俺らに気付き 棍棒を持って近づいてきた
俺等フェンリル組が肩や足 喉笛に嚙みつくが なかなか硬くて牙が通らない
五月蠅い虫を払うように俺らを薙ぎ払うと俺目がけて棍棒を振り下ろして来た
横に飛び 比較的柔らかそうな膝裏に牙をたてる
少し態勢を崩したところにクラリスの風魔法で超加速したハイジが腹にパンチを叩き込む
ガクンと膝をついたサイクロプスの目にノエルさんの剣が突き刺さる
「ぐがぁぁぁぁぁ……」サイクロプスの動きが止まる
残り二体も同じように態勢を崩し ノエルさんが目を刺して倒す
「「「ふ~」」」ノエルさん ハイジ クラリス の三人が息を吐く
「つ 強いですね!!」三人の戦闘を見てラテが驚く
「あ ありがとうございます」ユリナも呆然としながら口に出す
「じゃあ 散らばった仲間を呼んでくれる?」クラリスがユリナに言うと
はっとして指笛を吹く 音程の組み合わせで言いたい事が伝わるのか 暫くして周りの木々が揺れ オニ族の面々が出てきて 倒れている三体のサイクロプスを見て驚く
「さあ 怪我人はここに集まって下さい」クラリスが言うと
オズオズとクラリスの周りに集まる
「完全治癒」唱えると怪我人達が光りに包まれ傷が治っていく
さて これからどうしたもんかね? 壊れた家屋に荒らされた畑 再建するのにも時間がかかるだろう 同じ事はオニ族も考えているらしく 不安そうな顔をしれいる ユリナと長を呼んでこれからどうするのかを聞くが 何も思いつかないらしい
もともとクロノス王に相談するつもりだったらしいから ユリナと長と三人でクロノス王に会いに行く事にする 比較的まともそうな家に転移の印を付けて三人で聖王国に転移する メイドさんにクロノス王の都合を聞いてもらう
この前の応接室に通されクロノス王がいた
「アデル王国に行ったんじゃなかったのかい?」クロノス王が聞いてくる
「ええ 道中でいろいろありまして」ユリナと長を見ながら答えると
「初めまして お目にかかります 私はオニ族の長をしておりますユリスと申します お目にかかれて 光栄です」長が地にひれ伏して挨拶する それを見てユリナも同じように地にひれ伏して「ユリナと申します」自己紹介をする
「ああ よろしくね でも頭はあげて欲しいかな そんな 偉い人間じゃないからね」クロノス王がそう言うと「は はい」と言って立ち上がった
俺が経緯を話すと クロノス王がユリスに「今までどうやって暮らしてたんですか?」クロノス王の問いにユリスが「樹海の中で猟をしたり 畑で作物を育てたりでほぼ自給自足の生活をしていました 後 岩塩や毛皮を出入りの商人に売って足りない物を賄っておりました」
「分かりました」そう言うとドア近くに待機していたメイドさんに
「孤児院の空き部屋の状況を教えてくれませんか?」そう頼むと
ユリスに「暫くここに住んで ここから樹海に通って村の再建と仕事をしてはどうですか?」と提案する
「「ええ!! いいんですか?」」二人は驚愕の表情でクロノス王を見る
空いている孤児院に行ってクロノス王が転移の魔法陣を起動する
それから俺が印を付けた場所に転移して魔法陣を書き換える さすがクロノス王だ
ユリスが皆に説明し 村人も喜びクロノス王にひれ伏す
「この魔法印を刻んだ板を持った者しかここを使えませんので安心して下さい」
「ありがとうございます」礼を言われるがクロノス王は「困ったときはお互い様ですよ」そう言って颯爽と帰って行った 俺達も旅に戻る事にして用意してると
ユリスとユリナが来て俺達に深いお辞儀をして礼を言ってきた
「クロノス王も言ってたように 困ったときはお互い様ですよ」ノエルさんがそう言って手を振る
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