第3話

長い廊下を妹と手を繋ぎながら歩く。

警備兵という人達は一切触れてこなかった。

むしろ私たちの後ろに着いて歩いてるくらい。

「それにしても本当に西洋みたいな作りなのね、変なところ」

「ここはシュビラト・デッセルという大国なんですよ」

「なんて?シュビ....?」

「ははは、シュビラト・デッセルです、これからこの国のことをゆっくり覚えていけばいい」

「シュビラト・デッセルなんて世界地図にあったかしら....」

「ないと思うよ、お姉ちゃん、ここなんか日本とかあった世界じゃないみたい」

「そんなわけないでしょ」

妹とそんな話をしていたらどうやら部屋に着いたようだ。

「こちらへどうぞ、レディー達」

開かれた部屋は目を見開くほど豪華だった。

「わぁ....」

思わず妹が声をあげている。

ほんとに声が出そうだった。

きらびやかな装飾に花色の壁紙。

そして真ん中にはフカフカそうなソファーが2つと真ん中に机が置いてあり、その上にはクッキーやケーキ、そして紅茶のような飲み物まで置いてある。

歓迎されていることは間違いないようだ。

「さぁレディー達、こちらに座って?」

恐る恐るソファーに近ずき手で押してみる。

想像を超えたふわふわ感が手を押し返してくる。

妹は早速座ってクッキーに手を出していた。

呑気なものだ。

私もようやく座るが、妹に耳打ちをした。

「食べちゃダメ、何が入ってるか分からない」

「えぇー美味しそうだよ?」

「話が終わるまで我慢しなさい」

「はぁーい....」

「大丈夫ですよ、毒など入っておりません。」

ヒソヒソ声が聞こえたのか、目の前の男性がそう言ってくる。

「信用出来るわけないでしょ。」

私は冷たく言い放った。

当たり前だ。ここがどこかもしれない。

それに知らないところで何かを行動するのは危険すぎる。

「手厳しいお嬢さんだ」

苦笑いしながら彼は手を上げた。

すると警備兵と言っていた人たちが皆部屋を出ていった。

相当権力があるらしい。

「まずなぜあなたがたをここに呼んだのか。それから順にお話致します。」

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