第2話
目を開けた時、そこはよく分からないところだった。
周りには魔法陣のようなものがあり、大勢の黒い服に身を包んだ人達に囲まれている。
そして何より。
日本じゃないのだ。
まるで西洋のような絨毯、部屋をしており、私は必死に鈴菜を抱きしめた。
「ああ!!成功だ!!聖女様だ!!」
「なんという事だ、実在したとは....」
「そんなことより2人いるぞ、聖女は1人と聞いたが?」
「そんなことはいいのだ、早くサルマント王にお伝えするのだ」
などと騒いでいる。
聖女?サル...なんとか王?
美晴は混乱するばかりだった。
恐怖で鈴菜をぎゅっと抱きしめる。
さすがの鈴菜もこの事態に目が覚めたようだった。
「お姉ちゃん....」
「大丈夫よ、大丈夫。私がいるわ。」
そして一人の男が近づいてきた。
妹を守るように前に出る。
「初めまして、可愛いレディー達。私はシュビラト・ヒーデスと申します。以後お見知り置きを。」
銀色の髪をした、まるでおとぎ話の王子様のような人が手を伸ばしてきた。
私はその手を払い除ける。
「あなたの名前なんてどうでもいいわ!ここがどこでなんなのか、さっさと説明してちょうだい!さもないと警察を呼ぶわよ!!」
私は大声で言ってやった。
警察を呼ぶと言ったら流石に怖気づくだろう。
「ははは、面白いお嬢さんだ。
警察とは何かは分かりませんが、ここにいる警備兵は皆私の言うことを聞きますよ」
「警備兵...?警察って言っているのよ!」
「その警察とはなんなのですか?」
「国民を守る職業よ!誘拐なんてさぞかし素敵な刑が着くでしょうね!」
「.....まずはあなた方にこの現状を説明した方が良さそうだ。お嬢様方?少し場所を変えませんか?絨毯にずっと座らせているなんて失礼だ」
「場所を変える必要なんてないわ!ここで説明しなさい!」
「お前たち。部屋へご案内しろ、丁重にな」
「何をするの!!」
両方から腕を捕まれ無理やり立ち上がらさせられた。
「お姉ちゃん!!」
鈴菜もおなじ状況だった。
私は妹を守らなくてはいけない。
「自分で歩けるわ、妹と私を離して。」
そう言うと腕を掴んでいた人達は銀髪の人を見る。
その人が頷くと、腕を離された。
ここではこの人たちは本当に言うことを聞くらしい。
「お姉ちゃん!!」
妹が抱きついてくる。その体は震えていた。
「大丈夫よ、お姉ちゃんに全部任せてね。」
「ではこちらへ」
私たちは銀髪の人について行くことを決めた。
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