竜の大国と聖女の涙

@kaorun2222

第1話

「おとーさーん!!お弁当できたよ!」

私 花森 美晴みはるは父にいつも通り声をかける。

この家には私と父と妹の鈴菜すずなしかいない。

小さなアパートだがそれも慣れたことだ。

父と母が離婚してはや5年。

私は家のことをこなし学校に通うという生活を続けていた。

鈴菜は家事のほとんどが苦手で特に料理ができない。

だからこうやってお弁当も3人分私が作るのだ。

「おーいつもありがとな、助かるよ」

父は優しい。

こうして毎日お礼を言って仕事へと向かう。

稼ぎはすごく多いという訳じゃないけれど、3人で暮らしていくには十分だった。

「んじゃ、行ってくるな、今日も遅くなると思うから夜ご飯はさきに鈴菜と食べていてくれ」

「はいはい、わかったから、遅刻するよ」

「行ってきます」

「行ってらっしゃいー!」

そう言って扉を閉じて一息つく。

この後が大変なのだ。

妹の鈴菜は朝がめっぽう弱い。

何度起こしても起きないのだ。

「鈴菜!!遅刻するよ!!おきて!!」

「んんーーあと5分、5分だけでいいか....スー」

「遅刻するってば!!しらないよ!?」

こんな毎朝だ、もう慣れっこだけど鈴菜のこの朝の弱さにはほんとに困っている。

「私行くからね!?知らないからね!?」

立ち上がろうとした時だった。

アパートが揺れている。

「な、なに!?地震!?」

慌てて鈴菜の頭を抱きしめる

周りが光った。

それだけが分かった。

その光に包まれるように、私の意識は途絶えていった。

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