〜3章〜【魔導士の在り方】

(魔導士の戦い方?そんなもんとっくの昔から熟知してるつもっ…!?)


話し終える前に目の前から奴が消えやがった。

姿を消す固有魔法か?

そして俺の後ろから唐突に声が聞こえた。


(ザンネン!固有魔法じゃねぇーんだわ!

《火炎魔法「ナ・ルナー」!)


(グガァ!)


背中が焼かれたと同時に奴はまた姿を暗ましやがった。盗賊らしい姑息な魔法だぜ全く…、

そして辺り一帯から声が聞こえる。


(ギャッハッハッ!隙だらけだぜ!?

《土流魔法「サン・ブーン!」》)


奴の魔法で泥になった地面に足が取られる、

そこへ追い打ちをかけるかの様に、


(そのまま地中に引き摺り込んでやる!

《蔓魔法「イレイサー」!》


地中から生えた蔓を巻き付けられ地面に引き摺り込もうして来やがる、コイツ一体どれだけの魔法を使えるんだ?


(ギャッハッハッ!これが魔導士の戦いだ!俺はテメェらの様に固有魔法なんざ持っちゃいねーが、その分魔法の鍛錬は人一倍やってきた!お陰で※八芒魔法の内の4つを使えるって訳だ!格がちげぇんだよ!格が!)


※この世界での魔法属性は火・水・草・土・氷・風・光・闇の八つがあり、その八つを総称して八芒魔法と言う。


なるほど、奴なりに努力した結果って訳だ…だけどな、


(姿が消えるったってお前の実態が消える訳じゃねーんだろ?)


(あ?)


様は、当たりさえすれば良いって事だな、

これ程分かりやすい答えもねぇや!


(《龍装『ドラゴニュート』アーム》!)


《バリバリッ!》


よし!俺を縛っていた蔓が破れた。

これで反撃出来る!


(俺の蔓が破れただと!それに…な、何だその手は!?お前は一体…。)


禁忌魔法龍装…魂に宿し龍を身に纏う魔法…か、フッ、相変わらず化け物染みてるなアークの奴)


それだけじゃない!龍の身体はあらゆる者の気配を捉える!逃げられるもんじゃねぇ、


(これで終わりにしてやるよ!《龍装拳》!)


(ギャワァァァア!)


龍の衝撃でブッ飛ばされ透明魔法も解除された。取り敢えず盗賊討伐は成功だ、しかし、まだコイツからは色々と聞き出さなければならない。


(ホント魔法っぽくねぇよなお前のそれ、禁忌魔法なんざ、どこで身に付けて来たんだよ?固有魔法って訳でもねーんだろ?)


(知らねーよ、気が付いたらこうなってたんだ、それに俺はこれ以外魔法が使えねーから固有魔法って事で良いじゃねーか)


幼少期から俺は龍に化けられる人として心底周りから恐れられた、だからこそ家族の様に接してくれるギルドは俺の宝だ。


(それより!問題はコッチでしょ!コイツらが盗賊団じゃなく盗賊ギルドだとしたらこの依頼は私達だけで手に負える依頼じゃなくなって来る…。)


盗賊ギルド~ヘルメウス~奴は確かにそう言った。聞いた事が無いギルドだが色々と情報が必要だ…けど…、


(オイ!起きろ!オイ!!……駄目だ完全に伸びちまってる、ちっとは加減しろよバカ!)


(ギルドを侮辱しやがったんだ!加減もクソもあるかアホ!)


思いっきりブッ飛ばしたからな、こりゃ数日は目を覚さねぇかも…。


(喧嘩してる場合じゃないでしょうが!)


《ゴンッ!ゴンッ!》


俺とシルバーの頭にはそれはそれは見事なタンコブが生えてきた。


(とりあえず、コイツを騎士隊の駐屯地まで連行するわよ、そして色々と吐かせましょう。)


(ったく!こんな蜥蜴ヤロウとのクエストは金輪際お断りしたいもんだぜ…)


(俺のセリフだ!そよ風バカ)


《ゴンッ!ゴンッ!》



        ギルド~星~


(なるほどのぉ…盗賊ギルドヘルメウスか…何かあるとは思うたが、まさかそこまでとは思って無かったわい。)


(えぇ、ギルドが相手となると私たち3人じゃ

とても手に負えない、だからマスターの意見を仰ごうかと思ってね。)


犯罪ギルドでも正規ギルドでも構成員は最低でも30人はいる。それ故に3人でギルドを相手にするなんてのは自殺行為に等しい事なんだ。


(最悪戦争になりかねん…か…、とりあえずこの件はワシが預かろう、クエストのグレードについてもワシが直接※魔導委員会に掛け合う、ひとまずオヌシら!ご苦労じゃった!)


※魔導委員会とは国の中枢を担う魔法における最高意思決定機関。


よぉーし!やっと家に帰れるぜ、もうずっと帰って無かったからな…空気を通しに行きがてら少しゆっくりするか。


(じゃあな!俺は家に帰るわ!)


(ちょっ!あんた!報酬金まだ貰ってないわよ!待ちなさぁぁい!)


(テメェ!俺にも分け前よこしやがれ!)


ただでさえ割りに合わねぇ金額だってのに更に少なくして堪るかってんだ、捕まる前に俺は足早に家に帰った。


        ~アーク宅~


(やっと帰ってきたぜぇー!)


やっぱり自宅は落ち着く

寝心地の良いベッド…

落ち着くソファ…

美味いメシ…


(よう、待ってたぜアーク)

(逃がさないわよ?)


ギルドの仲間…って!


(テメェら!何勝手に入ってきてんだよ!)


(報酬金の分け前をよこせ!)

(報酬金の分け前をよこしなさい!)


60,000Ri ÷ 3 =20,000Ri、クソォォ…。


(で、あんた達どう思う?)


(どう思うって?)


(盗賊ギルドの事よ、グレードを偽って依頼を出した委員会もそうだけど今回の依頼おかしな点が多かったじゃない?)


…あの〜俺んちで話すのやめてくんない?スゲェ迷惑なんだけども…。


(何で俺の家で話すんだよ全く!…まぁタマゴ頭とやりあった俺としては、あんなのが何十人いても大した事がない様に思えたな、だが…)


奴の姿を消す魔法はジジィに聞くと水と風を組み合わせた《霧魔法》である事が分かった。姿を暗ます魔法は、気配をも察知できる俺の龍装には相性が悪かったから楽に勝てたってだけかも知れない。


実際、奴の様な※重術魔法の使い手がゴロゴロ

いれば一筋縄では行かないだろう。ジジィの言う通り戦争だってあり得る話だ。


※重術魔法とは八芒魔法の属性を組み合わせた魔法を指す。


(私たちでもヘルメウスについて探りを入れて行きましょう。)


(探りを入れるったって…一体どうやって?)


(バカだなぁシルバー…そんなの簡単じゃねぇか、盗賊を片っ端から捕らえて尋問すりゃ良いだけだ!)


盗賊ギルドの事なら盗賊に聞くのが一番手っ取り早い、報酬金も貰えて一石二鳥って訳だ。


(私は刑務所に囚われている盗賊から色々聞き出して見るわ、あんた達はこれから受ける依頼を盗賊討伐の依頼に限定して探りを入れてちょうだい。)


(まぁ…乗りかかった船だしな。)

(オゥ!)

     

          ・

          ・

          ・

          ・


     盗賊ギルド~ヘルメウス~


(マスター…マシュラの奴からの連絡が途絶えました、恐らく…。)


(あんな馬鹿一人放っておけ…と、言いたい所だが…我々がヘルメウスと分かっての行いなら

喧嘩を売られたも同義…捨ておく訳にも行かんな、ホント…やってくれるよ星の奴らは)


























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