第2話 異世界生活始まるー舞ー

「おはようございます、ヴァローナお嬢様。」

と言って、キュラソーはカーテンを開けた。

「お、おはっようごじゃいましゅ!!?あっえーと。すいませんおはようございます。」

キュラソーは、にっこりと微笑み私に少し寄ってきた。

「すいません、起床時間を言わなかったので驚かせてしまいましたね。朝は6時に起床になっております。起床後は、温かい紅茶を飲むのがいいと思いますが、どういたしますか?種類はダージリン、キャンディ、ルフナ、ディンブラ、ウバ...などがあります。」

私のドレスを着せながら言った。うーん、分からん。何がどういう紅茶なのか。

「おすすめを頂けるかしら。あまり紅茶には詳しくなくて...。できれば、甘めのものを頂けると嬉しいわ。」

そうすると、キュラソーは私の髪をとかしながら、少し考えてこういった。

「ルフナですかね。黒糖のような甘みを持つ紅茶で、ミルクを入れるととても美味しいんですよ。いかがなさいますか?」

私はとっさに

「それをお願いしてもいいかしら。」

というとキュラソーは

「かしこまりました。今ご用意いたしますね。」

目の前で入れてくれた。紅茶のいい香りが私の心を癒やす。

「こちらをどうぞ。お好みで、ミルク、お砂糖をどうぞ。」

「ありがとう。」

と私が笑って返すと、キュラソーは少し驚いた顔をしてその後に笑ってくれた。昨日の自信なさげなキュラソーとは全く違う。

「昨日は、ぎこちなくて申し訳ありませんでした。私は昨日入った新人でして。とても緊張してしまったのでまともに、お話できずで。」

この人が心の底から申し訳なさが伝わってくる。

「いいえ。私だって、新しい場所に来たばっかりだったらそうなるわ。気にしなくて大丈夫よ。あら、この紅茶とても美味しいわ。キュラソーに選んでもらって正解だったわ。ありがとう。」

こうして、朝のお茶は終わった。そして、食事をした。

「今日のスケジュールをお伝えいたします。今日は、会議室で自己紹介をしていただき、その後王室で講師を選んでいただきます。あと一つだけお聞きしたいことがあるのですが...、お嬢様は音楽の経験はありますか?」

なんでだろ?

「ええあるわよ。ピアノをやっていたわ。あと、ヴァイオリンも少し触るくらいなら経験したこともあるわよ。」

キュラソーは、メモを取って書いた・

「かしこまりました。ありがとうございます。では、着替えるお時間になったら、またこちらに来ますのでごゆっくりお過ごしくださいませ。」

そうして、キュラソーは私の部屋を後にした。

思っている以上に時間がかかりそうだから本でも読もうと思ったけど、ろくな本がない。窓ぎわで紅茶を飲みながら、お庭まで見るか。

そこには、可愛いデザインのテーブルと2つある椅子。そして、大きな窓辺があり風通しが良さそうだ。座って庭を眺めていると、なにか気配があり気配を感じる方を見ると、私と歳が近そうな少年がいた。顔を顰めて何かをやっているようだ。

「何をしているのかしら?...ん?」

手にはヴァイオリンが握られていた。上手く弾けない様子。ああ違う、もっと弦と弓が垂直になるように、てか肘上げすぎ。そりゃ弾きづらいに決まっている。

「もお我慢できない。ヴァイオリン作れないかな。うわっ、出っでた~!」

ヴァイオリンを持って庭に飛び出した。やばっ、ここ2階じゃん‼

ドカッ。

「痛った〜い。はっ、ヴァイオリン!!」

手元を見るといつの間にかケースの中に綺麗に収納されていた。

「ふぅ〜。良かった。よし、青いバラのあたりで弾いちゃおう。」

私の一気に集中力が増し、時が止まったかのように辺りの静けさが増した。

私は、引き出す。私が弾いているのは「G線のアリア」。初めて弾くが、私は覚えている範囲で楽譜を正確に撫でていくことを意識した。

*****

一人園庭でヴァイオリンを練習している僕。親にあんなこと言われてとても辛い。

「お前はなんで、こんなに魔力が弱いんだ!!」

赤く腫れた頬をそっと触る。

僕は、ヴァイオリンが向いていない。分かっているよ、だから魔力が弱いことなんて。何回弾いても、ぎこちない動き、ヴァイオリンと魔力での会話ができていない

からこうなるのだ。魔力での会話が一番難しい楽器である弦楽器。嫌でも、やらなければならない。僕は貴族だから、ヴァイオリンを弾けるようにならないといけないんだ。というのは、魔力の大きさによっては婚約する相手が変わってくるからだ。

「はー...。どうにかしなければいけないなら、しょうがない。」

僕はまた、ぎこちないヴァイオリンの音を奏で出す。

すると、とてつもないヴァイオリンの音が耳に飛び込んでくる。

「?!!!!えんあうひrごー192−¥?!!」

こんなに凄い演奏を聞いたことがない。だっ誰が弾いている?!

僕の住む屋敷でこんな凄い演奏をするものがいない!お客様だろうか!!

僕は夢中になって音がする青いバラのほうに走ると。

そこには、僕と歳が近そうな少女がいた。きれいな白い髪、そしてどこかに闇が潜んでいそうな冷ややかな赤い目。

「だっ誰?...なんだ。」

*****

私は夢中になって演奏していた。

すると、私の足元が奇妙な瑠璃色の光が魔法陣を描き出した。そして、描き終わったかと思った瞬間青いバラが舞い始めた。

(青いバラが舞っているはずなのに、お庭のバラが減っていない...?)

「だっ誰?...なんだ。」

さっき窓辺から見た少年らしい。でも、私は気にせずそのまま弾き続ける。だが、さすがに人がワサワサと庭に出てきた。

「誰が弾いているんだ?こんな魔力が強い人は、国王陛下しか聞いたことないぞ。」

「でも、国王陛下にしては暗すぎる曲でありませんこと?一体どなたがお弾きになられているのかしら...」

そして、彼らが私を見ると大きく目を見開いた。

「女性がヴァイオリンを使いこなせる方、初めて見たわ!どんな方なのかしら?」

とどこかの令嬢が言った。そして、近くにいたどこかの男爵が言った。

「まさか...、昨日転生された方がいるという噂の本人なんじゃないか?」

私が弾き終わるとみんなが私に注目した。

「皆様ごきげんよう。私は、ヴァローナ・エルラット。以後お見知りおきを。私は、ピアノの演奏とヴァイオリンの演奏が好きです。どうぞよろしくお願いいたします。」

なぜか、国王陛下がいた。なんでか考え始めようとしたとき、国王陛下の口が開いた。

「君の部屋に行ってもいないし、どこを探してもいなかったから心配したけど、勝手に自己紹介してくれたしまあいっか。皆の衆、察しはついているだろうがこちらが昨日の転生者『ヴァローナ・エルラット』だ。本来転生者は僕が迎えに行くところを、ヴァローナは自分の力で私のもとに来れるくらいの魔力だ。心に刻んでもらいたい。

 では、本日の会議は終了とさせてもらう。」

ガヤガヤとしながら、貴族たちがゆっくりとこの場を立ち去っていく。その中でも、数人が私に向かって歩み寄ってきた。3人の令嬢がクスクス笑いながら何かを話している。もう一人は、最初に来た少年だった。だけど、先に令嬢たちが先に私と話した。

「ごきげんよう、ヴァローナ様。私、エミリア・ヴィバリー。よろしくお願い致しますわ。」

すると、周りの人がこちらを見たと思ったら、何か話し始めた。

「エミリア様だわ。あの女ったら、すぐいじめるのが趣味なんじゃないの?

この前だって、フィローネ様の婚約者に手を出したり、嘘をついたりものを盗んだりしたのよ!本当に、ありえない。」

フィローネ様って誰だろう?

「そうよ、しかも口を開いたと思えば、身分関係なく無礼なことばかり発言していらっしゃるし...」

うわー、めんどくさいやつ来ちゃった。

しょうがなく、何か言葉を返そうとすると...。

「まあ、それにしてもこの程度の曲が弾けて貴方は楽器に自信がお有りのようですわね。転生者が来たというから、期待していましたのにお目立ちになるような人でもなさそうですわね。」

すると、両脇にいる二人はクスクスと笑った。

私のスイッチは入った。

「あら貴方こそ、ふくよかでいらっしゃること。私に少し分けていただきたいくらいですわ。あと、脇にいるお二方も笑っていないで、少しは自己紹介でもして頂けてもおかしくないですわよね。」

エミリアは、少し機嫌を損ねて私を少し睨んだ。でも私は構わず続けた。

「別にこの世界に来たばかりの者に優しくしろ、とは言っていませんわ。...それにしても、視線が痛いですね。この感じだと、周りの方々でもあまりよく思う方々はいないようですわ。まあ、悪意はお有りにならないのでしょうけど、せいぜい夢が覚めるのを期待するまでですわね。では、ごきげんよう」

私は、その場を立ち去った。

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