第26話 聖竜と創造神
聖竜と第5秘書は聖蛇と別れ、創造神の元へ向かった。事前に秘書から連絡を送ったが、ちょうどいてくれると助かる。創造神も聖竜並みに忙しいのだ。
創造神がいる部屋に向かい、秘書がノックした。
「失礼します」
2人が入ると、こちらに顔を向けた第3秘書と、椅子に座っている創造神がいた。
「うん、サンザス、第5秘書、ご苦労じゃったの」
それを聞いて、第5秘書はお辞儀をする。聖竜は心底疲れた顔をした。
『秘書の報告で知ってると思うが、かなり危なかったぞ。あの黒い穴、肝が冷えた…』
「わしもまさか、そんなところまで行ってるとは知らなんだ。聖蛇も怖かったじゃろうな」
『は?知らんのか?聖蛇はギリギリまで寝てたぞ。まぁ、目が覚めたら混乱してたかもしれぬ』
創造神は目を見開いて驚いた。
「まったく…こうも睡眠に貪欲とは。今回みたいなことがまた起こらなければ良いがの」
『それで?空間の裂け目のことは分かったのか?』
「いや…お主も知ってる通り、空間魔法というのは上位魔法じゃ。扱えるものが少ない。だから目星もつけられるはずじゃが、とんと分からん。ちなみに聖牛にも聞いてみたが、聖蛇の防壁魔法は完璧で自身ですらその中に別の空間を侵入させることは不可能だと。ましてやその空間自身が引力でその空間に引きずり込むことは出来ないとも」
創造神はお手上げともいうように、天を仰いだ。
『余程強力な空間魔法か、別の魔法があるのかもしれんな。他には?』
「この話とは別で、シンを妨害しようとしたやつがおるじゃろ?」
『あぁ、シンの能力を妬んだやつだろ』
「その者が忽然と消えたそうじゃ」
むぅ、と唸った聖竜は
『もしかしてそやつが今回の事件を?』
「そう結論を急ぐものじゃないが、ただその者には今回のような強大な魔力は持っていないはずじゃ」
そのはずなんじゃがの、と創造神は呟く。
「こういうときに、あやつがいてくれたらすぐ分かるのにの」
『あぁ、ハザマか。それはそなたの用事で留守なんだろう。第3秘書がここにいるんだから』
と、第3秘書の顔を見る。第3秘書はコクリと頷く。
「ハザマは聖鯨のところじゃ」
『ふぅん。ハザマは聖鯨の弟子だからな。また力をつけて戻ってくるんじゃないのか?』
「これ以上力をつけられたら、わしはどこに隠れればいいんじゃ…」
『普通に仕事すればいいのだ』
当たり前のことを言うな、と聖竜は言う。
『帰ってきたら調査をしてもらうんだな。ハザマなら、片手間に事務と実務とをこなしてしまいそうだが』
「もうすでにやっております」
第3秘書が、キリッと応える。
『なるほど。ならば問題解決は早そうだな』「そうだといいんじゃがのー」
創造神は拭えない不安を口にした。
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