第24話 ネロは眠い
聖蛇から預かった小さな蛇は、聖蛇によると水の魔法が得意ということで「ネロ」という名前にした。
「ネロ!よろしくね」
「キュキュ!」
ネロは舌をチロチロさせて嬉しそうだ。エウポリアの首周りが定位置になるらしい。
『これで、眷属が3人か。順調だのう』
「いえ、派遣もいれて5人です」
『ゴホッ!派遣?』
「聖鼠様と、聖猫様らしいです」
第5秘書がすっと説明する。
『なんで、派遣なのです?』
「あの2人はケンカばかりするので、第8秘書さんから提案されたんです。ここの眷属の条件は『みんな仲良く』なので」
『なるほど。だからわたくしの子は選ばれたのですね』
『本当あやつらはしょうがないのだ』
聖獣をまとめる立場の聖竜は頭が痛い。今度会ったら灸を据えてやらねば、と思った。
聖蛇は自分の聖域を留守にしていたので、そろそろ帰らなければいけないと訴えた。第6秘書が抑えている眷属たちが探しに来るかもしれない。聖蛇はネロに別れを告げて、シンの聖域から帰ろうとした。
「お待ち下さい。私達も出ますので。聖竜様、お暇しますよ」
第5秘書が急かす。
『もう帰るのか?…仕方ないのだ。良いか、シンバン、エウポリアも。少しずつで良いのだ。一気に頑張ると倒れるからな、シンみたいに』
『主人どのは、仕事に一生懸命なのです!』
ずずぃ!とクルクルが出てきた。
『あぁ、そうか。棒がそういうなら、そう…ん!?』
クルクルが喋っていたことに、今更ながら聖竜はドキッとして胸を抑えた。
『はぁ、シンのところはいろいろ驚くことが多い。我の心臓は壊れそうだ』
そう言った聖竜にシンバンは不安な様子で聖竜の足にギュッとしがみついた。
「聖竜様。シンバンが心配してますよ」
『それはすまんかった。まだまだ頑張らねば』
聖竜はシンバンの頭(殻)を撫でて、聖蛇と秘書と共に帰っていった。
「一応、聖竜様にも報告できたな」
『新しい眷属も増えましたしね』
「みんなパワーアップしていかないと、星が完成してから鍛えたら遅いかもな」
ワタシは腕を組んで考えた。
「とりあえず、シンバンは種を手から出す練習。エウポリアも空間魔法を徐々に形にしていかないとな。ネロは…」
ワタシはエウポリアの首に巻いているネロに
「ネロは水魔法が得意だってね。何ができるの?」
と聞いてみた。するとネロは体を揺らし
空中に小さな水の塊を出した。そしてその形をシンバンの顔に変形させた。
「あぁっ!シンバンだ!」
「キュキュキュ!」
エウポリアとシンバンは、シンバンの顔の形をした水の塊に喜んだ。
「へぇ、凄いな」
『形を作るのは集中力が必要ですよ』
「今は疲れてるから、これしかできない」
「そうだよな、聖蛇さまを探しに行ったんだもんな…」
と、声のする方へワタシは応えた。あれ?とエウポリアの方を見ると、ネロが片目を開けてワタシを見ている。
「ネロってそんなこえだったんだね。はなすのにがてかと、おもってた」
「キュッ」
「蛇だから瞬発力はあるけど、あまり動くのは私は苦手。今も眠たい」
と、エウポリアの首に軽く巻きついて、今にも寝そうだ。
「疲れてるなら、寝てていいよ。ここは楽に過ごしていいんだから」
「だったら、そうする」
と、ネロはすぐに寝てしまった。エウポリアとシンバンはお互いの顔を見て、しぃーと声をあまり出さないように気をつけた。
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