第22話 女子会

 クルクルにびびった聖蛇をエウポリアは見て


「せいじゃさまー!」

 

 と、走っていく。そのあとをシンバンもついていく。


『あら?あなたは聖牛のところの…』

「エウポリアです!」

「キュキュー!」

『名前をつけてもらったのですね。そちらの…なぜ卵の殻を被っているのかしら?』


 誰もが思う疑問を聖蛇は口にした。


「シンバンです!はずかしいから、かぶっているみたい」

「キュー」

『そうなのね。それも個性ですわね』


 ほほほ、と聖蛇は笑う。


「エウポリア、聖蛇さまに会ったことがあるのか」

「ねんになんかいか、じょしかいっていうのがあって、わたしもせいぎゅうさまとみんなと、さんかしてたよ」

『じょ、じょしかいって何だ?』


 聞き慣れない言葉に聖竜は頭をひねる。


「女子会というのは、男子禁制の女性だけの催し物です。女性の聖獣さま、眷属、秘書や職員も女性なら誰でも参加できます」


 と、第5秘書が説明する。


『あぁ、そういえばぞろぞろと皆が集まって向かうのを時々見たが、あれがそうか。というか、なぜそたなが知ってる?』

「第6秘書が、その催し物があったあと、私にベラベラ喋るものですから。それを見かけた第3秘書にこっぴどく叱られてました。幸い内容までは聞いてませんが、おしゃべりやお茶などを楽しんでるとのことです」


 もし内容まで聞いていたとしても、第5秘書は墓場まで持っていきそうだ。


「ここでも女子会ってあるんだな」

『シンも知っていたか…いや、ちょっと待て。

男子禁制って言ったな。我は創造神をあの集まりの中で見たぞ。あと、第10秘書も。あやつは男だろう?』


 すると、聖蛇が笑い


『創造神様は、女子会のスポンサーなのですよ。特別に参加いただいてるの。もちろん、聞かれたくない話は聞こえないようにしてます』

『第10秘書はどうしてなのだ』

『あの方は体は男性ですが、心は女性ですわ。わたくしたちより、女性の気持ちをお分かりになるの。仲間外れなんて時代遅れですわ』

「わたしも、あのひとすきー」


 そう言うエウポリアに、にっこりと聖蛇は微笑んだ。


「第10秘書さんというのは…?」

「あの方は聖兎さまの秘書ですね。会えばすぐ分かりますよ」


 みんながひと所に集まってワイワイしている中、クルクルはようやくその中に加わった。


『聖蛇さま、酷いです。私は歓迎ムードだったのに』

「迎えるのはいいが、クルクルは圧が強いって言っただろ。ワタシ達以外には控えめにしないと」

「第6秘書といい勝負です」


 そう話していると、聖蛇の着物の合わせから、小さな蛇が顔を出した。


『あ、起きたの。』


 そう言って聖蛇は小さな蛇を指で撫でる。


「あれ!?」


 エウポリアはその小さな蛇を見て


「あなたもきたの?ひさしぶりだね」


 そう話しかけた。小さな蛇は舌をチロリと出し、エウポリアの首にくるりと巻いた。小さな蛇もエウポリアに会えて嬉しそうだ。


『それで我の眷属は…今までにいないタイプだな』

「顔を見せないだなんて、よっぽどですね」

『ますます見たくなりますわね』


 シンバンはワタシにべったりとひっついている。いきなり自分が注目されたため、余計に恥ずかしくなったのだ。


「キュゥ〜」

『我には見せてもよかろうに』

「ワタシもまだ見てないんで、先越さないでくださいよ」


 シンバンの顔を見るのはまだまだ先みたいだ。

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