第14話 昼寝のあいだに

 お腹がいっぱいになったのか、シンバンとエウポリアは昼寝をしている。床では固いので、大きめなクッションみたいなものを出して、その上で寝てもらった。


 周りは真っ白な景色なのに、2人はよく気持ちが塞がないなと思う。自分も結構神経が太い方だと思う。クルクルは…どうだろう。

 

 2人が寝てる間に、星の様子を見る。庭の池くらいの大きさになっている。

 核も光り輝いているが、粒々が集まったことで、少し覆われている。これが段々と厚みを増していき、星の土台になっていくはずた。

 

 それを見ながら、ワタシはクルクルを呼んで


「ワタシが前の星に住んでいた時、神話という形で、どうやって国づくりをしたか伝わっている。それを記した古い本もあった」

『そうなんです?たとえばどんなふうに作られたのですか?』


 ワタシはクルクルに簡単に説明した。


 上位の神々から国を作るように言われた二柱は、宙に浮かぶ橋の上から、矛という長い柄に両刃を付けたものを、水面に突き立てかき回し、矛から滴り落ちた雫が積もって、小さな島ができた、とある。


『なかなか興味深い話ですね。御二方は魔法を使っていたのでしょうか』

「なるほど、そういう見方もあるか…その二柱は自身の身からも、神を生み出していたそうだ。太陽や月、海などあらゆる神の親だな」


 大して詳しくはないが、そんな話だった気がする。しかしあらゆる地質学者や考古学の学者たちによって、ワタシが住んでいた国は最初は大陸から徐々に千切れて出来たらしい。なら、神話の信憑性は?と疑問に思うかもしれないが、あるところに祀られている太陽の神は、まさに確実に存在しているという厳かな雰囲気が感じられたという。そこに行った人から聞いただけだが。


『主人どのが私を持ってかき混ぜていたのも、そういう話を覚えていたからですかね』

「今思えばそうかもしれないな。先代の神様はどうやって創ったか分からないが、そうやってニンゲンが作った話も、ワタシたち代理人の存在をぼやかすために必要だったかもしれない」


 そうするとなかなか手の込んだ創り方を先代はしたのかも。実際に創ったのは自分達だとしても、それを公にすることはない。先代はそう考えたのかもしれない。


「星ができても、星の状態は生物が住める場所じゃないと思う。大気はガスがあり、気温も急激に変化するだろう。星の状態が落ち着くまで待つのも星を創る神の役目だ」


 まだ星と言えるほど大きくないが、早いうちから星が出来たあとのことを考えるのも大変だ。


「それに、エウポリアやシンバンも、地上での神の役割を果たしてくれないと困るからな。成長して自分の能力を発揮してもらわないと」


 昼寝しているエウポリアとシンバンを見ながらワタシは話した。


『私はいつでも主人どのの側にいます』


 クルクルは当然のように言う。


「まぁ、話し相手がいないとな」


 みんな出払ったら寂しいだろうなと思った。

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