第3話 プレゼントはお楽しみに

 さて、帰るかと創造神が消えかけたが、思い出したかのように、また鮮明になり、


「すまん。忘れておった。実はな、おぬしに

興味があるものがいてな。そのうち現れると思うから、そのときはよろしく。じゃあのう」


 と、言うだけで言って創造神は消えていった。



 創造神が帰ったあと、ワタシ(性別は無いが、一応ワタシとしておこう)は、さてどうやって星を創ろうか悩んでいた。創造神から貰った棒、今は腕輪だがこれはワタシより万能だし何でもなれるし。しかし星を創る際のマニュアル的なものも欲しかったな。


 ワタシは腕輪を、指揮棒みたいな長さと太さをイメージして、手の中に収めた。

 試しに手首からクルクルと回してみる。何も起きない。ふーむ。何か核みたいなものが必要なのだろうか。棒の先に注意していると何やら小さく光るものが見える。棒に付いているのだろうか。またクルクルと回す。

 すると、そこの空間が渦を巻くように歪んでいく。凄く狭い範囲だけどこの小さな光るものを中心に何かが集まっている。


 星って確かガスとかが集まってできたとか、どこかで読んだ気がする。しかも最初は爆発したはず。自分のこと以外の記憶があるのは星を創るうえで助けになりそうな気がする。

 棒の先に見えるのはガスではないようだ。しかしこれ以上考えても分からない。しかもワタシの創り方は正規の星の創り方ではない。

 自分の創り方で星がちゃんと出来るかは運次第だ。何で自分が選ばれたのか疑問だが、任されたのなら頑張らなくては。


 

 数日経つと、ワタシの棒の扱いも上手くなってきた。自分で回すより自動で回す方が何かと楽で、勝手に回ってくれないかなと思ったら、棒はひとりでに回り始めた。

 ただ光の大きさはワタシが直に触れて回さないと、大きくならないらしく、なるべく触れるようにしている。


 今日も棒をクルクル回していた。疲れると

ロッキングチェアを出して休む。

 お腹はなぜか空かない。水くらいは飲まないといけない気がして、休憩の度に飲んでいる。風景も真っ白なままだし、あるのは椅子と棒クルクルとワタシくらい。


 すると、どこからかコンコンと音がした。反射的に、はい、と返事をした。

 目の前にヌッとドアが現れて、開けて入ってきたのは眼鏡をかけた長身の男性。スーツを着ている。


「突然の訪問、失礼いたします。私、創造神に仕える第5秘書と申します」

「あ、はい」

「E89番目の神様にお会いしたい方がいらっしゃいます。よろしいでしょうか?」


 代理人だけど神様の位置なのか。


「どうぞ」


 そう応えると、第5秘書がドアから離れて後ろから、巨大な目がこちらを覗いていた。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る