第7話「黄昏の暁」

雨天道中

流れるラジオ

秋の静けさに滲んで

どこかゆれて聞こえた


ウィンドウ越しに

見渡した町は

枯れ木ばかりで

誰もいなく


遠い夜に来てしまったのかと

孤独が胸を締め付け

アクセルを少し

強く踏んだ


移り変わる景色も

変わりばえせず

荒野の町が

どこまでも

広がっている


ああこんな秋の

そんな僕に

どこか遠い

町を教えてくれよ


あの回る風車が

風を掴むように

この車輪も

地を掴んで

遠く遠くの


まだ見ぬ世界へ

僕を届けてくれ


昇る朝日の淡い光が

僕を包み込んで

どうしてか

いつもと違う道に感じた


そうか

そうだった

僕は自分の道ばかり追い求めていて

何かに身を任そうとしなかっただけか


ただ進むんじゃなくて

今度は

誰かを思って走るだけで

景色はもっと変わって見えるのかもしれない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る