第4話「泡沫の唄」

忘れるる葉隠れの森に

迷いこみ

いつか奏でた

木漏れ日の歌を思いだす


その想いの彼方に

今しがた心をたどわせ

追憶の黄昏へと足を運ぶ


凪いだ空に

淡い太陽が浮かび

古からの風が吹いたと思えば

地平に咲く花が可憐に舞う


美しく切なく優しい場所

気に病んだことさえ

遥かなる鳥たちが唄い流してゆく


夕立が空に虹をかけ

雨雫がきらめき

想いもまた空へと帰っていく


遠い声がささやく

未来の言霊は忘れて

今ある景色に耳をすませば

深淵なる心の足音が聞こえてくる


最終列車の汽笛が鳴り響き

運命の扉は開いた

駆け込んで動き出した

明日へとレールは続く


窓から見えた

自分の生きる世界

このまま降りずに最後を迎えようか

なんて寂しいこと言わないで


夢の中から覚めても怖くないから大丈夫

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る