第30話

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 たまたまさとしと行った チムラ軒で

 じんしゅんと再会したアミ



「もう1人、あとから来るよ」


「えっ、誰だろ…」



「遅くなりましたっ……えっ…」



「あ、てっちゃん…!!!!!」




 ・・・・・・・・・


 アミのこと

 やっと気持ちに整理がついたのに…

 また会うって……何なんだよ……



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 いつの間にか、5人で食事

 お互いに近況報告…



「へぇ〜!

 部長は今、出張に行ってるのか…」


「先輩、良いんですか?

 俺たちとご飯なんか

 食べたりしてぇ〜(;¬_¬)

 部長、怒るかも〜」


「部長?えっ、柾國まさくにさん、

 部長だったの?!Σ(º ロ ºノ )ノ

 あ〜…でも何となく貫禄…ん〜?…

 …いや、ポンコツだね(*´艸`)」


「智さん、あの部長のことポンコツって…

 面白い人だな。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ」


「アミさんの受け売りです( ̄▽ ̄)ニヤリッ」


「いや、私も

 お義母さんの受け売りだし(ノ∀`)」



『お義母さん…ねぇ…』


「・・・・・・」


「てっちゃん?…体調、悪い?」


「…えっ?あ、…大丈夫、大丈夫(^_^;)」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 ワイワイと話しながら食事して

 お腹がいっぱいになった頃


「そろそろお開きにしようか!

 アミ、帰り…っ…」


「仁さん…アミは俺が送ります…」


「哲、お前っ…」


「…これが最後だから」



 *・゚・*:.。.*.。.:



 〜仁 side〜



 話は アミが 大噴火して

 会社を辞めた日までさかのぼ



 あれだけ啖呵たんか切って

 会社を辞めたアミだけど…

 ひよ子と部長の事で

 落ち込んでいるんじゃないかと

 俊と2人、仕事帰りにアミの部屋へ

 様子を見に行った


 部屋に行くと 哲も居て

 それから4人で飲んで

 会話の中で哲が、"あの元カレ"

 だったこともわかって腑に落ちた


 俺が"アミのことが好き"という

 淡い気持ちに気づく前は

 互いの恋愛相談が出来るほどの

 仲だったから…

 

 "すごく優しくて喧嘩したことないの!"

 なんて自慢していた彼が 哲だったのか…

 社長令嬢との縁談、

 彼のために

 身を引いたことも聞いていた



 アミの噴火は、入社してから度々あった


 "曲がったことは嫌い!"


 みんなが無理やり

 納得せざるを得ない案件も

 アミだけは"それは違う!"と

 食ってかかっていく

 …見ていて清々しくてカッコよかった


 今までは、俺が止めに入れば

 ヒートアップしてるアミを

 落ち着かせることが出来たけど…



 アミに思いの丈をぶつけて

 玉砕してまもなく

 部長との関係…

 そして、別れたことを聞いた



 あの日…

 苦し紛れに暴走したアミを

 俺には最後まで止めることが

 出来なかった



 ── それだけ部長の事が 好きなんだ ──



 アミは、・・・"仲の良い同期・親友"


 俺は自分の気持ちに

 区切りをつけることができた



 久しぶりの宅飲み

 もう少し 楽しみたかったけど

 アミも一人で考えたいだろうな…


 長居するのも良くないと思って

 俊と哲を連れてアミの部屋を出た


 帰る道中…哲が口を開いた…


「俺…アミとは、

 ある人の策略で離別させられて

 …すごく苦しかったんです

 嫌いになって離れた訳じゃ

 なかったから…

 再会した時、運命だと思いました。

 諦めようとしたけど…

 部長あの人と、別れた今…

 …今度こそ、俺が

 アミのそばに居たい…幸せにしたい…

 多くは望まない…

 隣で笑っていてくれるなら…それで…」


 部屋では、大笑いしながら

 楽しそうにしてた哲が

 酔いも回っていたのか…

 そう 言葉をこぼして 涙を流した


 ・・・すごく好きだったんだろう




 でも、週明けの朝礼で…

 まるで アミを追いかけるかのように

 部長も会社を辞めたことを知る


 



 数日後、

 部長とまたやり直すことになったと

 アミから連絡が来た


 "なんだかんだ…両想いじゃねぇか…"



 哲にも連絡


 "そうですか…"と

 落ち込んでいる様子だった


 同じ人を好きになった哲のことが

 なんだか放っておけず…

 連絡を取り合って

 時間が合えば

 飲みにも行く仲になって

 お互い、気持ちにカタをつけたと

 思っていた



 *・゚・*:.。.*.。.:



 ── これが最後だから… ──



「……わかってるよな?

 アミは…もう…」


「……はい」


 ・・・アミは…ブレることは無い



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



「さとちん、帰り道わかる?」


「だいじょぶだ〜(*´꒳`*)」


「おじさんの訛り

 感染うつってない?(*´艸`)」


「うぇぁ?さとす、あんだって?」


「ご本家、キタ━(゚∀゚)━!

 アミさん また来週ぅ〜ε=ε=ε=(ノ*>∀<)ノ」


「それじゃあ先輩、また会いましょ!」


「じゃあな、アミ!

 部長によろしく!( ´ ▽ ` )ノ」


「みんなも、気をつけてね!(。・ω・)ノ゙」



「アミ、家まで送らせて(*´꒳`*)」



「え〜っと…σ(^_^;」


「ハハッ、もしかして警戒してる?

 大丈夫だよ、送るだけだし(´∀`*)」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.



 〜哲 side〜



 帰りは、他愛のない話をしながら

 歩いた…


 家の前に着くと


 "今日が…最後…"

 ふとよぎった迷い…


 ホントに最後…

 想いを断つためのコトバを…なにか…



「アミ…あの…っ…」


「ん??」



「……部長と、仲良くするんだぞ」


 ぎこちなく

 無理やり笑って

 心にもないことを言ってみた


「…うん(*´꒳​`*)」



「……」



 心の中を渦巻く モヤモヤとした闇…



「あ…ごめん、トイレ貸して(*>人<)

 漏れそうだ(´∀`*)ヶラヶラ」


「と、トイレ?…いいよ(*´꒳`*)」



「・・・・・・」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 もう、入ることは無いと思っていた

 アミの部屋…



「・・・・・・無防備だな・・・ハハッ」


「え?」


「簡単にオトコ招き入れちゃうんだ…

 トイレ貸して…って ただの

 口実かもしれないのに…」


「⋯てっちゃん?」


「危機感、無さすぎ・・・

 チョロいよ、アミ・・・」



 ギュッ…



 *・゚・*:.。.*.。.:



 何が起きたか、一瞬わからなくて…


「てっちゃんっ!!!!」


「もう、大丈夫だろうって思った?

 俺、諦め悪いの…知らないの?」



 ここは、冷静に…


「ごめん、てっちゃん、

 帰ってくれる?っ…」


「アミ…まだ俺は、好きなんだよ…」



 ・・・遅かった



 身動きが取れない・・・

 唇は塞がれ 声も出せない・・・

 抵抗するも、押さえつけられ・・・



 油断した・・・


 ごめん、まさくん・・・


 心の中で、何度も謝りながら

 これ以上進まないように

 必死に抵抗した



 ……ガブッ!


「⋯ぃゃ…っ…、!!!」



 ぁ…まさくん……ごめんっ…


 居ない時に、こんなこと…

 ホント、情けないっ…


 噛まれても…私は…っ…



「やめてよ、てっちゃんっ!!!!!」



 と、その時



 ── ガチャ…


 ドアが開いた


『えっ…』



「おいっ!アミから離れろッ!!!!」



 怒りを含んだこの声は…



「離れろって言ってるだろっ!!!!」



 声を聞いて

 弱々しく 涙が頬を伝う


 まさくんが 少し乱暴に

 私に覆いかぶさっているてっちゃんを

 引き剥がした



「帰れ…」


「・・・・・・っ・・・」


「さっさと出ていけっ!」



 バタンっ…


 ドアが鈍い音を立てて閉まった



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



「まさくん…どうして、ここに…」


「何でだろうな…

 コレ、アミに似合いそうだと思って

 買ったあと…

 気がついたら ここに向かってた」


 ゴールドとシルバーが絡み合った

 キラキラ輝く 素敵なブレスレット…

 手首につけてくれた


「ごめんね…っ…

 さとちんとか、仁…っ…屋台で…

 てっちゃんが…トイレっ…っ…」


 語彙を大渋滞させながら

 ポロポロと泣いた



 ギュッ…



「間に合ってよかった…」


「ごめんなさい…っ…」



 私が落ち着いた頃…


「同棲の話…

 明日現場に戻ったら社長に話す…

 いいよな?」


「……ぇっ…」


「今日みたいなことがあると

 不安だし( *¬ω¬)…」



 そうだよね……


「……返事は?」


「…はいっ」



 ギュッ…

 さらにチカラの入った腕の中



「出張から帰ってきたら、

 すぐ荷物運ぶから

 1週間で荷造りしとけよ?」


「わかった(*´꒳`*)」



「……アミ」


「ん?」


「・・・・・・メンテ」


「…ふふふっ」





 てっちゃんに つけられた歯型は…


 「前にも同じことあったよな?

 デジャブか?」と

 不貞腐れながらも上書きしてくれた



 あと1週間 我慢したら

 また、2人の毎日が変わるんだ



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



  ── 雨降って地固まる… ──



 1週間後の再会は俺の部屋で…

 そう約束したのに…



 俺たちには、まだ

 乗り越えなければならないことが

 あったみたいだ…

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