07:異世界側王族亡命事件(前)
土砂降りの雨が降るどんよりした空の日だった。
その日、ある総合病院から境界警察局に通報が入った。
この病院に救急搬送された患者が『未登録の異世界人』だったとのことだ。異世界人は2名で、うち1人が意識不明の状態のため第1発見者により救急通報されたらしい。
色々と詳細がわかっていないことが多いものの、それも含めて色々と事情を聞き出さなければならない。
ということで、雄二、メリス、エルメナの3人は搬送先の病院へ急行した。
「こちらです」
看護師の女性に導かれて到着した先は、かなり大きな病棟の個室だった。
中に入るとベッドの上には黒髪の少女と銀髪の少女がそれぞれ横たわっていた。どちらもまだ小学生くらいに見える。
「この子達が、今回の渡界者(とかいしゃ)ですね?」
メリスが看護師に問う。
「はい、そうです。」
看護師も即答する。
「担当した先生が血液検査をしましたところ、これまで記録されたどの型とも異なる型だったそうで、ちょうど常駐していたエルフの先生に診てもらったところ、『初めて見る波長の魂だから恐らく渡界者だ』とのことで…」
「なるほど……」
メリスは考え込みつつ納得する。
エルフは大抵が人間よりも長命な種族であり、魔力や魔法に長けている者が特に多い種族でもある。そのため医師として医療行為を行う者もいるのだ。
「それで、どんな状況なんですか?その子達は…」
ベッドで眠る少女達を見ながらメリスは問う。看護師も答える。
「先生曰く、黒髪の子は全身に裂傷や打撲が目立つものの命に別状はなし、銀髪の子は外傷は少ないものの生命力の消耗が著しいために意識不明だそうで…恐らく渡界するための魔法で相当消耗した可能性が高いと。」
「わかりました。まずはこの子達の回復を待ってから、となりますね。」
「えぇ、そうなりますね。」
2人の会話を聞いて雄二は思う。
(あんな小さい子があんな状態になりながらも渡界するほど…それだけ追い詰められていたということだろうが…)
そんなことを考えながら、ふとあることに気付く。
「ところでこの子達、名前は名乗りましたか?」
その問いに看護師は答える。
「黒髪の子の名前はわかりましたよ。銀髪の子はまだ…。」
看護師の話によると、どうやら黒髪の子は『ミリィ』と名乗ったらしい。
もう1人の銀髪の少女についてはまだ何の情報もないそうだ。
とりあえずはミリィという子の容態が良くなった後に話を聞こうということになった。
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そして数日後、ミリィの方はかなり回復してきたようで、ようやく落ち着いて受け答えができるようになった。
この数日の間、メリスや雄二は第1発見者である老夫婦から話を聞いていた。
老夫婦曰く、当時土砂降りだった中、趣味の家庭菜園をしていた庭の中で一瞬何かが光ったように見えたらしい。その光った場所に行ってみると2人の少女が倒れていたらしい。
1人は血塗れで倒れており、もう1人は衰弱しきっていたためすぐに救急車を呼んだようだ。
その後、救急隊員によって近くの病院へと搬送され治療を受け一命を取り留めた。しかし銀髪の子は未だに意識が戻っていないとのことだ。
この話を聞いた時、雄二とメリスは嫌な予感を覚えた。
こういった渡界者事例、それも負傷状態で切羽詰まった渡界をしてきた場合となると大概ろくなことにならないからだ。
とは言え今はただの少女なので保護対象として対応するしかないのだが……。
「さて、そろそろお話を伺ってもいいですか?」
メリスが優しく問いかけると、銀髪の子に寄り添うように寝ていた黒髪の女の子こと『ミリィ』がゆっくりと起き上がり、答えた。
「はい……」
少し疲れた様子ではあるがはっきりと返事をする。
「私はミリィと申します、そしてこちらにおわしますのが……」
と言いかけて隣の銀髪の子に目をやる。
「リンネ=クレース王女殿下…で御座います…」
「やはり……」
雄二は納得する。
(異世界からの渡界者は王族で確定か……)
心のなかでそう呟き、スマホで外務省に連絡を取り始めた。
「では、ミリィさん。貴女が体験したことを詳しく教えてくれませんか?私たちが知りたいのはそのことです。」
メリスの質問にミリィは淡々と答えた。
銀髪の少女、クレース王国王女リンネ=クレース。10歳。
黒髪の少女、リンネ=クレース王女の従者としてあてがわれた使用人、ミリィ。12歳。
彼女達は主従の関係でありながらも仲の良い友達でもあった。
お互いが物心ついた頃から共に過ごしてきた間柄であり、信頼し合う関係であった。
そしてリンネは、魔法に関して類稀なる才能を持っていたのだ。
この国では王族や貴族が代々魔法の才を受け継いできたのだが、稀にリンネのように特別なほど才能に恵まれた者が生まれてくることがあったらしい。
リンネは他の大人達が何年もかけて習得する魔法を、本を読んだり他者が使用してるのを見ただけであっという間に覚えて使いこなしてしまうほどであった。この類まれなる才を両親である国王と王妃は大層喜び、大事に大事に育てられた。
…ここで国王と王妃は一つ、しくじってしまった。
娘リンネを愛情たっぷりに育てた一方で、15歳の兄である王子イクス=クレースへの興味を失ってしまったのだ。
元々優秀で見目麗しい容姿を持つ兄に対して、両親は並外れた期待を寄せていた。しかし彼は元々性格に難があり、それなりに魔法の才にも恵まれたというのに遊び呆けて浮名を轟かせていた結果、両親は落胆してしまった。
その結果、両親の興味は完全に妹に向けられることとなったのだ。
そんな様を目の当たりにした王子イクスは嫉妬してしまい、歪んでしまったのだ。自身の行いの結果でもあるにも関わらず。
一方、リンネはそんなことは露知らず、兄からの視線に不安を感じながらも日々勉学と魔法修行に明け暮れていた。
そしてある日、事件は起きた。
王子イクスが、自らの手で母である王妃を手にかけてしまったのだ。
とにかく何もかもが気に入らない、説教ばかりの母も厳格にたしなめるばかりの父も、自分に怯えておべっかしか言わない臣下達も、落ちぶれ始めた途端手のひら返した女どもも、そして、自分より魔法の才に恵まれた妹リンネのことも、この国も、この世界も、何もかも、何もかも何もかも何もかも何もかも何もかも何もかも何もかも。
そうして、ついに暴走を始めてしまったのだ。
王宮で暴れ出し、必死に止めようとする王妃を魔法と剣で惨殺してしまったイクス。その時図書館で読書に勤しんでいたリンネとミリィは大慌てで駆けつけた近衛騎士隊と父である国王に連れられて王宮を脱出させられたのだ。
だがイクスは追いかけてきた。気に入らないものをすべて消さなければ、そんな思いで。
国王と騎士隊は暴走したイクスを止めるために立ち向かい、リンネとミリィを逃がしたのだ。
深い森の中を当てもなく逃げ回ったリンネとミリィ。道中野生動物や魔物に襲われ、リンネの魔法によってなんとか退けるもボロボロになるまで追い詰められてしまう。特にミリィは使用人としてリンネを庇い続けたため怪我の度合いが大きかった。
そうした中で、リンネは図書館で見て覚えていた『転移魔法』を思い出し、藁にも縋る思いでこの転移魔法を発動しミリィとともに森から転移したのだった。その転移魔法に魔力の殆どを費やしてしまったのでリンネは疲弊し気絶してしまい、ミリィも傷だらけの体でなんとかリンネを助けなければと担ぎ上げようとしたところで見知らぬ風体の老夫婦に声をかけられ、今こうして病院のベッドにいる…という流れだった。
話を聞き終えたメリスと雄二は絶句していた。
異世界からやってきた渡界者であるこの子達が王族と従者というのは理解していたが、まさかこんな年齢でここまでハードな状況から生き延びたというのか……。
気を取り直してメリスが問う。
「…話を聞く限り、この世界に渡界してきたのは意図したものではない、ということですね?」
その問いにミリィが答えた。
「…はい、リンネ様はあくまで別の場所に転移すれば状況を脱することが出来るというお考えで、世界まで超えてしまうとは全く思ってもいませんでした。」
答えながら、ミリィは俯いてしまう。
「きっとイクス殿下は、今も血眼になって私達を探し続けていることでしょう。あの方はそういう方です……。」
「……。」
ミリィの話を聞いて雄二は考えた。
(これはまた面倒なことになりそうだ…)
本来、事故などで意図せず渡界してしまった場合は元の世界に帰還させるというのが常なのだが、元世界側でこのような危険な状況となると迂闊に帰してしまった場合、最悪以上の状況になることが予測される。リンネ達を今度こそ死なせてしまうばかりか、「リンネ達を匿ったお前らも気に入らない」とか抜かして日本に侵攻してくる可能性すらありえる。
これがもしも一般家庭みたいな個人間トラブルレベルであれば境界警察局と外務省で何とか対応は出来るかもしれなかった。しかし相手は王国要人。それも王位継承権を持つ王子である上に、話を聞く限り国王の無事が確認できないとなると、クーデターが成立して王位が簒奪されてしまっている可能性が高い。つまり、兄のイクスが国王、すなわち『国体』となってしまっている可能性が高いのだ。そうなると国家間トラブル、それも相手国側が積極的軍事侵攻を考えているという最悪な状況となる。
これらの事態を想定すると、この子達をこのまま帰すワケには行かない。
そう結論付けた雄二はすぐに行動を開始した。
メリスに目配せし、そのままスマホで電話しつつ病室を早足で出ていった。
メリスは全て察し、ミリィとリンネに向き合う。
「ミリィさん、お話しいただきありがとうございます。内容を鑑みた結果、境界間及び国家間の緊急事態であると認識しました。そのため、貴女方がこれから行うべき対応についてご説明します。」
そう言ってメリスはこれからについて説明を始めた。
まず、リンネとミリィはこれから『境界連盟機構横田駐屯地』内の特別病院に移動してもらうことになる。そこで改めて療養しつつ、今後についての話し合いを行うのだ。
その後、彼女たちは日本政府の管理下に置かれ、両国間で「帰還か亡命か」協議が行われる…のだが、国体となっている可能性が高いイクスが協議を一方的に蹴ってしまう可能性が高い。
それが確認出来次第、境界連盟機構の即応部隊が門(ポータル)から異世界のクレース王国に突入しイクス等クーデター政権を武力鎮圧することになる。
そして制圧後、クレース王国の政治体制を変革させ、リンネ達の身の安全を確保する。
以上が大まかな流れであり、リンネ達の身の安全を確実に確保できる方法であると説明した。
「……わかりました。」
ミリィは覚悟を決めた顔でうなずいた。
一方のリンネは、未だ眠り続けていた。
「リンネ様……」
不安げに見つめるミリィに、メリスが話しかけた。
「大丈夫ですよ。今はゆっくりとお休みください。今後のことは、私たちに任せてくださいね。」
優しく微笑むメリスの言葉に、ミリィは少しだけ落ち着きを取り戻して小さく礼をした。
「…異世界の皆様…こんな私達のためにここまで…本当に、ありがとうございます!」
と、ここでようやくリンネが目を覚ました。
「う……ここは……?」
「リンネ様!あぁ…良かった!」
リンネが目覚めたことによってミリィは涙を流しながら喜びを露わにする。
メリスもその様子を見て安堵し、改めてもう一度一連の説明をするのであった。
ーーーーーーー
境界連盟機構。
それは境界警察局では対応し切れないような境界間及び国家間問題、特に軍事的緊急事態が発生した際に即応し防衛対応が出来るように組織された多国籍、多境界軍機構である。所属する軍人も多くの世界及び国家から志願してきた優秀な者達で構成されており、人種も種族も様々である。
ここ横田駐屯地にも多くの即応部隊がいつでも出動出来るよう待機しており、境界警察局からの応援要請で直ちに動くことが出来る。
そんな国境警備の最前線とも言える場所に、リンネとミリィは移送されたのだった。
二人を乗せた車が駐屯地病院の入り口前に停まる。車から降りた二人は、目の前に広がる光景を見て唖然としていた。
「ここは、一体……!?」
思わずリンネが呟く。
そこには、武装した大勢の兵士達が列を成していたのだ。
その兵士達の中にはエルフやドワーフ、ホブゴブリンや竜人種(ドラゴニュート)などなど、様々な種族が揃っていた。
皆が皆、それぞれの身体的特徴に合わせつつも統一された規格の武装で揃えられており、病院入口までの道を示すように整列しているその姿からは非常に高い練度を感じさせた。
そして入口前に、3人の人物が立っている。
一人は藍色の制服姿の境界警察局員、烏山雄二。
一人は黒のビジネススーツ姿の外務省職員、政田隆二郎(まさだりゅうじろう)。
一人は暗緑色の軍服姿の年配女性である境界連盟機構横田駐屯地所属第18即応部隊隊長、ドリス・アン・ビルソン大佐。
雄二とビルソン大佐は敬礼し、隆二郎が敬礼しながら話しかける。
「おはよう御座います、渡界者、リンネ=クレース王女殿下とその従者ミリィ殿、お待ちしておりました。」
その姿を見て、リンネとミリィは戸惑いを隠せない。
「こ、こちらこそこの度はお助け頂き、ありがとうございます…。」
「これが、異世界の役人達や軍人達…」
二人の反応を他所に、雄二が話を続ける。
「さっそくですが、ここから先は我々が責任を持って案内致します。また、今後は貴女方の身の安全のため、当施設にて生活していただきます。」
「はい、よろしくお願いします……。」
その後駐屯地病院の病室に移動し、改めて今後についての話し合いが行われた。
最終目標としてはリンネとミリィを元の世界へと安全に帰すこと。
その為にも、リンネ達の元の世界である異世界、クレース王国の治安回復が急務である。暴走してしまった王子イクスが王国でどんなことをしているか、予測がつかない。
クーデター政権の現況についても不明点が多い。クーデター政権がどの程度の規模なのか、クーデター政権側の戦力の詳細などが不明であるため迂闊に攻め込むと逆に返り討ちに遭う可能性がある。
そのため、まずは情報収集が必要と判断する。
可能性は非常に低いものの、リンネの父である現国王が生存しているという希望も捨てきれない。
以上の内容をふまえた上で、今後の方針を決定した。
「ではまず、我が国としては人道的対応としてリンネ殿下とミリィさんには当面の間日本国内にて療養という形でご滞在頂きます。そして、クレース王国側世界への門(ポータル)を開くためにご協力頂くこととなりますが、よろしいでしょうか?」
外務省職員の政田隆二郎がリンネ達に説明する。
「はい、もちろんです。」
「お父様が生きているかもしれない……それに、お母様を早く弔ってあげたいと思っております。」
「承知しました。」
隆二郎はリンネ達の返事に満足気にうなずく。
「ではここからの説明は私から失礼します。」
次に声を上げたのは境界連盟機構のビルソン大佐。
「殿下のご協力の元で門を確保してからは我々第18即応部隊と境界警察局の共同で王国内の偵察を行います。」
「…兄様の動向を探るのですね。」
リンネの声に緊張が走る。
雄二も説明に加わる。
「動向偵察は王室側と市街地側の2方向から行います。そうして得た情報を元に今後の対応を決定していきます。また、クレース王国との外交チャンネル構築も並行して行い、可能な範囲で交渉を続けていきます。」
「はい、よろしくお願い致します。」
リンネは礼を述べる。再びビルソン大佐が発言。
「それから、今回の件について境界協力連盟より正式な抗議声明と遺憾の意の表明が出されています。それに加え、境界を跨いだ大規模犯罪の可能性に対し越境特別刑事法に基づいて『境界間及び国家間の緊急事態』認定が発令されました。よって、我々第18即応部隊及び境界警察局に速やかに特別権限が付与されることになりました。」
この説明を聞きリンネは顔を強張らせる。
しかしそれを雄二がほぐすことになる。
「もちろん、王国民を無碍に、ということは決していたしません。あくまで我々は防衛のために行動するのであって、侵略の意図は一切ありません。ご安心ください。」
「……本当に、お気遣いありがとうございます……。」
王族とはいえ、こんな小娘一人にここまで手厚く対応してくれるなんて…とリンネは感動していた。
ーーーーーーーー
翌日から、作戦が始まった。
まずはリンネとミリィの回復。門を繋げるための境界捜索のためにもまずはこちらが急務である。
魔科学による最新医療を受けた二人はみるみる回復していく。それだけでも驚きのリンネ達であったが、入院食として提供された料理にも舌鼓をうつことになった。
そして回復後はリンネがあの時使用した転移魔法をベースに元の世界への門を繋げるための境界捜索。これはリンネの魔法の才もあって非常にスムーズであった。
「素晴らしいです!私の魔法を元にこんな革新的な方法で分析出来るだなんて!」
「殿下も、そのお年でここまでの魔法の腕前…こちらの世界でもそこまでの才を持つ方は非常に珍しいですし、誇ってよろしいかと。」
この作戦の中でリンネは即応部隊隊長であるビルソン大佐と打ち解けていた。雄二とメリスもお供しており、皆が和やかに談笑するという光景が見られた。ミリィはその光景を見て複雑な表情を浮かべていた。
「…リンネ様…。」
これからきっと、リンネは実の兄イクスと戦うこととなるのだろう…この光景は、嵐の前の静けさというものなのだろう…ミリィはこの思いを胸の奥にしまった。
そうして遂に、クレース王国側世界の特定が完了した。
境界連盟機構横田駐屯地内の境界門管理所に、ビルソン大佐率いる第18即応部隊に境界警察局の面々が集合する。
亡命中のリンネとミリィは安全確保のためビデオ通話で連絡を取っている。
「それでは殿下、ミリィ殿、よろしいですね?」
『はい、お願いします。』
映像越しにビルソン大佐が確認を取り、リンネは了承した。
「わかりました。」
そう、優しい表情で返したビルソン大佐。そして部隊に向き直り、号令をかける。
「ではこれよりクレース王国への介入を開始する!開門開始!!」
既に準備されていた大きなリング状ツール「ポータルレンズ」の内側に発生させた空間の揺らぎに対し、D(ディメンショナル)バンカーが打ち込まれる。今回は複数箇所に門を展開して双方向から偵察を行うため、境界警察局でサブゲートを市街地方面に開き、第18即応部隊でもう一つのメインゲートを王城地下機密通路内に開く。
サブゲートはパワードスーツ姿の雄二が、メインゲートは部隊員の蟷螂系の蟲人種(インセクティアン)、マンフレート・ベッカー准尉が担当した。
ガゴォン!!ガゴォン!!ガゴォン!!
Dバンカーが打ち込まれるたびに、揺らいだ空間にひび割れが走ってゆく。
そしてついに…
ガシャーーーーーーーーーーン!!!!!
空間が砕かれ、クレース王国への門が開かれた。
「よし!偵察班、突入!!」
「「「了解!!」」」
メインゲートから第18即応部隊の偵察班が突入してゆく。
「俺たちも行くぞ、メリス!」
「えぇ、行きましょう!」
サブゲートから雄二とメリスら境界警察局員も突入していった。
彼女にとっての異世界の戦士達である彼等の突入をリンネとミリィは固唾をのんで映像越しに見守るのであった。
「皆様、どうかご武運を……そしてお父様……どうか、ご無事でいてください……!!」
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