第5話
彼女も生徒会室の前についた。いくらさっき話したとはいえ流石に俺は入る気になれなかった。
「本当にはあるのか?」
「もちろん」
「俺になんかあるのは理解しているよな」
「はい、詳しくはわかりませんが」
「そうか」
「ですが、やる時はやるべきよ」
俺はすごいと思った。今の俺にない希望と自信、やる気がある彼女をが輝いて見えた。そして、今の自身に失望し、また頭を後悔と悔しさ、そして憎しみで支配されそうになった。
「前を向いて」
「えっ」
いきなり顎をクイってされた。そして
「失礼します」
俺に構わずドアを開けられた。
『え、政輝くん』『その隣は、転校生さん』
様々な驚愕が上がった。当然だ。なんせ俺がいるのだから。もちろん重富がいたのもだろうが、俺がいることはその比でない驚くべきことなのだ。されど会長はすぐに気を取り戻した。
「ここへきた理由はなんだ」
「ここに入りにきたのですが、その旨はどちらに伝えればよろしいでしょうか」
「俺でいい。話は理解したが、輝はそれでいいのか?」
「はい、一応やってみます。何もやらずに失って後悔はしたくありませんし、彼女をみて、人間を信用できるようになりたいと思いました」
まだ決心がついていないという真実を隠し、本当のことながら少し盛った情報を伝えた。
「本当にそうなのか、本心はなんだ?」
「会長は相変わらず人の心を読むのがお上手ですね」
この会長はカリスマと気遣いがうまく、それで仲間を増やしていった人であり、僕の中学時代にお世話になってみた人なのである。会長も俺が安牌を取ってお世話になっているふりをしているとわかって面倒を見てくれたのだ。俺が自爆してしまわないように。
「会長、僕はやってみます。あいついや重富とやり直してみます」
「どうやら本心のようだな。よい、歓迎する、人数が足りていなかったのだ」
「どうしてですか?」
「俺についてくるのは2年と1年、後進の育成のために3年が完全に手を引いている」
「あ、保守派のめんどくさいところでましたね」
「そうなんだ、もともと2年主体で3年は完全に社会準備と育成、補助に回っていた頃からずっとこうらしい」
「あー、そすっか。では委員の説明お願いします」
「私も話させてもらってもよろしいでしょうか?」
忘れていた相方が後ろから話しかけてきた。
「ここの仕組みはどうなっているのでしょうか?」
「そういえば転校生だったな、外には秘匿されてるとこまで教えないとな。じゃあ、委員と仕組みについて説明する。それじゃあ、一人一人自己紹介して行ってくれ」
「書記の上園綾香でーす」
「広報長の有村令です」
「副会長の大迫有希です」
「会長の市来直久だ。この4人がお主なメンバーだ」
『よろしくお願いします』『よろしくお願いしますわ』
声が揃って返事をした。
「そして、うちは広報委員長、書記、会長、副会長が4職と呼ばれていて、下に広報委員、実務委員がある。そして君たちには実務委員長、副委員長をやってもらいたい。そのために賛成を集めたいのだが、さっきアプリに出した投票がものの数分で満票になり、ほとんどが賛成であった」
「そうですか」
「大変ありがたいですわ」
そして俺たちの生徒会生活が開始した。
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