　「何なんだ……」

完全に「あり得ない」状況が起きているので、頭だけはばっちりと覚めた。

そもそも、俺は「実は妹がFtMのTGで、いつの間にか性転換術を受けていた」なんて話は一言も聞いていない。

……それに「春兄（はるにぃ）」って、誰だよ……

既に指摘しているように、俺は女きょうだいに挟まれた黒一点だ。

確かに男の親戚もいるが、兄分と呼べるほど歳の近い年長者はいないし、「はる」という音を持つ名前の人間もいない。

「……どういうことだよ……」

何が起きているのか全く理解ができない。

　とは言え、頭がフル稼働状態になってしまったからには、二度寝は完全に不可能だ。

仕方がないので、俺は今いる部屋の中を見分して周ることにした。

……俺の部屋だよな?……

ひとまずさっき＂妹＂が物色していた辺りを確認する。

がさがさとやかましい音を立てていた割に乱れが少ないのは、あいつが＂妹＂だからだろう。

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