幸せとは?

顔の無い使用人フェイスレス【金の淵】支部長は

監視に行かせた部下が植木鉢にぶつかって倒れた事を

レチエルから聞いた。


「・・・・・」

「あの・・・司祭?」

「神父全員集めて置いて下さい

それから顔の無い使用人数合わせのゴミを全員支部の広間に呼んで来て」

「は、 はい」


1時間後、 顔の無い使用人フェイスレス【金の淵】支部に

顔の無い使用人フェイスレスの構成員全てが集まった。


顔の無い使用人フェイスレス【金の淵】支部300人の皆さん!!

今日は大事な御話が有ります!! 先程我々の仲間が何者かから攻撃を受けました!!」


ざわめく顔の無い使用人フェイスレス構成員達。


「先程植木鉢が頭に当たって大怪我をして病院に運ばれた

我々の仲間が居ます!! そして今朝方

我々の仲間5人が猟奇殺人の犠牲者となりました!!」


顔の無い使用人フェイスレス構成員達のざわめきが大きくなった。


「抗議の為に動こう!!」


顔の無い使用人フェイスレス構成員の一人が叫んだ。


「そうだそうだ!! 私達が抗議の声を挙げれば

きっと私達の正しさが伝わる筈だ!!」

「やろう!! 皆で抗議の声を!!」

「よっしゃ!! そうと決まれば!! 今から行くぞ!!」

「今からでは駄目です!!」


支部長の一括で騒ぎが収まった。


「既に17時、 準備には時間が足りませんし

皆で考え無しに声を挙げても仕方ありません

そこで私達は効率良い抗議方法としてパレードを提案します」

行進パレード?」

「そうです!! 明日の8時!! 出社途中の群衆に向けて

我々の正しさを知らしめるのです!!」

「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」


一斉に歓声が挙がる。


「今日は皆さんをグループ分けをしてパレードの計画と準備を行います!!

明日決行に向けて準備を行ってください!!」

「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」


歓声は止まなかった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


「何よ、 アレは」


全ての準備が終わった支部長は自室でライムから詰められていた。


「何が?」

「何よパレードって」

「事情が変わったんだ」

「事情って?」

「私達にも詳しく聞かせて頂きたいですね」


続々と男達が入って来た。

顔の無い使用人フェイスレスに混ざっている【皮膚の兄弟団】のメンバーだ。


「誰よ、 アンタ達」

「事情とは?」


ライムを無視して話を進める【皮膚の兄弟団】。


「はい、 どうやら我々の存在を感づかれた様ですので

早急にこの街を落とす必要が有ります」

「落とす!?」

「早過ぎませんか?」

「ここを過ぎたら機を逃す、 と判断しました」

「なるほど、 我々は事前の打ち合わせ通りに

役所と商会に配置すれば良いんですね?」

「そうですね、 役所の機能を抑えて商会のデリシャスの確保に向かって下さい

今日は休んで明日の乱痴気騒ぎに乗じてお願いします」

「分かりました」


【皮膚の兄弟団】は去って行った。


「あ、 アンタ達、 何をする気なの?」

「私達はここで待機です」

「何をする気なの!?」


ライムが叫ぶ。


「説明して何か私に得でも?」

「・・・・・」


ライムが後ずさる。


「貴女に逃げる場所なんてあるんですか? 前科者のくせに」

「っ!!」


へたり込むライムだった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


ボクとアーケアスはベッドで眠っていた。

魔力を消費したので眠る必要が有るのだ。


「同じベッドで寝るのは婚前交渉に入らないの?」

「問題無いでしょ、 この位」

「女の子がそう言うのは如何かと思うよ」

「君よりは年上だし、 君は手を出さない」

「信頼されてるな、 ボクは」

「だって疲れてるでしょ」

「確かに・・・」


ボクは目を閉じた。



ボクは気が付くと真っ暗な場所に居た。


「ここは神座か」


ボクはひざまずいた。


████ 相も変わらず████ 謙虚な男よ

「お褒め頂き恐縮です」

██ うむ████ 娘は如何だ?

「良くして貰っています」

████████████ ならば良し、 彼女が元々は人間だった事は聞いているか?

「養子とは聞いていました」

████████████ 元人間だと言う事を吹聴する過去でも無いか

████████████████ 彼女は人間だった頃の話は控えておこう

████████████████ 彼女を幸せにしろ、 そして彼女と幸せになれ

「ありがたきお言葉です」




ボクが目を覚ますとアーケアスがベーコンエッグを作って待っていた。


「こうやって誰かと御飯を食べるのって幸せだよね」

「何か言った?」

「いや、 何でもない、 頂きます」


ボクはベーコンエッグを食べ始めた。


「食べ終えたら、 直ぐに顔の無い使用人フェイスレスのアジトに突っ込むよ

何だか連中動き始めたからね」

「マジか・・・あ、 じゃあまずはさ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る