ごうもん☆

ボクとアーケアスの家は曰く付きである。

それ故に安く買えた。

調べた結果、 前の持ち主が地下室を作っており

多くの人々を殺していたらしい。

趣味か研究かは知らないが酷い奴だ。


「とは言え、 今回ばかりは前の持ち主に感謝だね」

「そうだね」

「ムグー!!!!!」


我が家の地下3階。

完全防音の部屋にてボクとアーケアスとおばさんは居た。

おばさんには貼り付けにして猿轡さるぐつわを付けて武装解除して貰った。


「じゃあ如何する? 事情聴取拷問する?」

「その前に歯を全部抜いちゃおう、 舌を噛み切られると厄介だ」

「それもそうか」

「ムグー!!!!!」


おばさんはじたばたと暴れまわっている。

手足を釘で打ち付けたのに元気なもんだ。


「じゃあ私の手を噛んでねー」


アーケアスがおばさんの口に猿轡ごと手を突っ込んだ。


「おぼぼぼぼぼぼ!!!」


おばさんの口の中でアーケアスの手が膨らむ、 そしてそのまま引き抜く。


「があああああああああああああ!!!!?」


アーケアスの手を噛んでいる状態になっていた

おばさんの歯が全部抜けたのだった。


「あああああああああああああああああ・・・」


おばさんの口から血がぼたぼたと流れ出る。


「さてとおばさん、 これから色々と喋って貰う」

「喋らなかったらボクの師匠直伝の拷問を味わって頂くよ」


ボクは大量の針を取り出した。

魔法使いに拷問の技術が必要なのか、 と思っていたら

案外多用する技術・・・・・・・・・だな、 と実感している。


作者注訳(これから先おばさんの口の中には歯が無いので実際の

発音とは異なりますが分かり易さを重視して

普通に会話出来ている表現をしますので御容赦ください)


「こ、 こんな事をしてタダで済むと思ってるの!?」


おばさんが叫んだ。


「はい、 じゃあまず小指から行きまーす」


針を小指と爪の間に差し込む。

描写出来ない絶叫を挙げるおばさん。


「これからふざけた事を言う度にどんどん針を刺していくからねー」

「こんなんで良いの? もっと骨折るとかしなくて良いの?」

「良いんだよ、 指は神経が集中してるしこれが一番痛い拷問だ」

「へぇー」


アーケアスが感心する。


「私達顔の無い使用人フェイスレスに手を出してタダで済むと」

「それだ、 私はそれについて聞きたい」


アーケアスがビシッとおばさんに指をさす。



事の起こりを説明すると突然覆面のおばさんがごちゃごちゃ言って来て

鬱陶しいなぁと思ったのだが、 このおばさんの所属する団体が

顔の無い使用人フェイスレスと名乗った瞬間に

アーケアスはこのおばさんを拉致って連れて来たと言う訳である。



「その顔の無い使用人フェイスレスって団体って何か不味いの?」

「大いに不味いよ【ゲッシュ】

顔の無い使用人フェイスレスって言うのはヤバイのよ

名前が・・・

名前が・・・?」

「は? 名前が・・・? アンタ名前だけで私をこんな目に遭わせたのか!?」


おばさんが激昂する。

まぁ、 そら怒るわな。


「無貌、 つまり顔が無いって言うのは物凄いヤバイのよ

神々の中で断トツにヤバい【無貌の神】って言う本当にヤバイ神が居てね」

「【無貌の神】?」

「そう、 私のお父様の【不定の神】は【無貌の神】の神の前では赤子同然

一ひねりにされる、 更に言うなら【無貌の神】は物凄いひねくれ者で

こうやって手下に【顔無】とか名付けて遊んでいる可能性もある」

「つまりこのおばさんが【無貌の神】の手下だと?」

「そ、 そんな奴知らないわ!!」

「可能性は有るよ

【無貌の神】は正体が無い故に無限の顔を持ち合わせる」

「私は女性の社会進出の為に行動しているだけよ!!」

「女性の社会進出の為にカップルにいちゃもん付ける必要が有るの?」


ボクは疑問をぶつけてみた。


「大ありよ!! そもそも家族と言う形態が女性を家庭に押し込める!!」

「え、 じゃあ人間に絶滅しろって言ってる?

結婚しなきゃ子供生まれないよ?」

「そうじゃない!! 男が家庭に入れば良い!!」

「「・・・・・」」


ボクとアーケアスは顔を見合わせる。


「じゃあおばさん、 アンタ結婚は?」

「し、 してないわ!!」

「出来ないの間違いでは?」

「そんな事無いわ!! 婚活すれば直ぐに」

「覆面被って武装したカップルにいちゃもん付けるおばさんに

嫁の貰い手が要る訳無いじゃん」

「そもそも拷問して全部喋っても殺すよ?」

「え・・・」


ボクの言葉に絶句するおばさん。


「素直に喋ったら楽に殺すけども喋らなかったら今度は尿道に針を刺す」

「・・・・・」


おばさんの顔が絶望に染まる。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

許して、 本当に何も知らない、 私はただ若い男女が憎いだけなの・・・」

「・・・如何思う?」

「嘘じゃないと思う、 嘘を吐いた時の反応は見受けられない」

「そうか、 じゃあおばさん、 さようなら

来世ではちょっかいをかける相手は・・・

そもそも人にちょっかいをかけない人生をい送ってね」


ボクはおばさんの脳天に針を差し込んで絶命させた。

おばさんの体を貪るアーケアス。


「脂っこくて気持ち悪い味・・・しかし体に改造や魔法とかは無いね」

「じゃあただの名前の一致?」

「要警戒だねぇ・・・」


これがボク達と顔の無い使用人フェイスレスの因縁の始まりだった。

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