大鵞鳥を狩れ!!

一夜明けてサーフィスは宿屋でリヘルタと白樺と黒檀の交差路に

黄金獅子ゴールデンレオの鬣を4つも手に入れた二人が居ると

話していた。


「・・・・・あり得ないでしょ、 単なるデマよ

そんな馬鹿話聞きたくもない」


うんざりするリヘルタ。


「いや、 ちょっと待て、 無くは無い」


白樺と黒檀の交差路はリヘルタを諫めた。


「・・・・・正気? 私達でも黄金獅子ゴールデンレオは無理よ」

「確かにな、 だがしかし前にも言ったと思うが

私達人間には知恵がある力が無ければ知恵を使えば良い、 私達は獣とは違う」

「知恵で何とかしたと?」

「えぇ、 例えば眠り薬を含ませた餌を食べさせたとか」

「・・・・・」


確かに、 無くは無い。

黄金獅子ゴールデンレオは強靭な肉体を持ち

寒暖差に耐える事が出来るが毒等の薬剤や魔法に対する耐性は並。

とは言え人間よりも鋭敏な野生の感覚で察知されれば

毒餌や無視され魔法を唱えている最中に襲われるだろう。


「そんな事出来るの? 野生の嗅覚を誤魔化す薬とか想像出来ないんだけど?」

「分からん、 しかし世の中にはまだまだ未知の魔法が有る

君達も蠅あらん事をブレッシング・ベルゼバルは知らなかっただろう?」

「確かに・・・」

「なら楽勝じゃねぇか? 妙な魔法を使えるだけで

実際の戦闘能力は大した事無いと見た!!」


サーフィスが笑った。


「まぁ素で黄金獅子ゴールデンレオを倒しているよりは

そっちの方が可能性は有るね、 黒白」

「何?」

「確か魔法を弾く魔法が有ったじゃない

なんだっけ・・・何とかオイルって奴」

森の精油エッセンシャルオイルの事? 確かに魔法での眠りや毒を弾くけど

直接魔法攻撃は無効に出来ないわよ?」

「魔法使いなら魔法を唱える前に始末できるさ、 な?」

「そうね」


サーフィスを肯定するリヘルタ。


「これで殺せるとして問題は奴等を何時殺す?

今から奴等のねぐらを襲えば報酬金を頂けるけど?」

「ちょっとちょっと、 流石にそれは無いでしょう

街中の殺しは足が付きやすいし逃げられたらまずい

ここは連中が依頼を受けて街の外に行ったら始末しましょう

きっとまた大物依頼を受けるだろし」

「そうだな」

「そうね」


三人はギルドに向かった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――


ボクとアーケアスはギルドに向かった。


「【ゲッシュ】、 20万Gもあるんだから暫く働かなくても

良いんじゃないの?」

「いやいやブランクを開けるのは良くないし

【不定の神】への供物を捧げる為にもお金はもっと有った方が良い

ブランク開けて弱体化して酷い目に遭った冒険者とか居るらしいからね」

「そうなの?」

「冒険者になるなら冒険者の事を勉強するのは普通じゃない?」


ギルドでボク達は仕事を探そうとしたら


「あ、 君達、 ちょっと」

「「?」」


ギルドのお偉いさんに呼び止められた。


「何ですか?」

「君達当てに指名依頼が来ている」

「指名依頼?」

「依頼人が冒険者を指名して依頼して来る

滅多にない事だね、 私はこの街のギルドに勤めて長いんだが初めてだよ

依頼料は高いしやってくれるかな?」

「内容は?」

「【金の鵞鳥】の大鵞鳥を捕獲して欲しい1匹10万G払うそうだ」


【金の鵞鳥】の大鵞鳥は有名である。

【黄金都市】周辺の魔物は人間を喰らうが

当然ながら魔物同士で食い合いを行う。

鋭い牙、 爪、 角、 優秀な素材としても知られる武器を用いての殺し合い

必然的に強者が生き残る、 その強者の中に歴然と輝くのが大鵞鳥である。


何故鵞鳥がこんなに強いのか?

【黄金都市】周辺に魔物が来る前から

鵞鳥が多く生息する事で知られていた【金の鵞鳥】。

その鵞鳥達は魔物と言う外圧を得て生き残れる個体のみが生き残り

更にその生き残った強い個体同士が子を成し続け

継代を重ね、 遂に頂点捕食者、 大鵞鳥となったのだった。

5mを越す体躯と飛行と言わないが飛翔能力は凄まじく

【金の鵞鳥】最強クラスの魔物である。


「やってくれるか?」

「やりま「待った」


ボクの言葉を遮るアーケアス。


「鵞鳥の値段は100gでも100G

値が釣り合っていないのでは?」

「幾ら欲しい?」

「いえ、 10万Gで結構、 但し半身を頂きます」

「半身? 得物を半分寄越せと?」

「良いでしょう?」

「まぁ良いだろう話は付けておくよ」

「ありがとう、 じゃあ行きましょう」

「う、 うん、 そうだね」


アーケアスに連れられてボク達は【金の鵞鳥】に向かう。


「半身寄越せって割と無茶言ったね」

「ふふん、 意外と間が抜けているわね」

「うん? 如何言う事?」

「ギルドで私達を見てて後を付けて来ている奴が居ますわ」

「!!」

「振り返らないで」


振り返ろうとするボクの顔を掴んで向き合うアーケアス。

顔が近い。


「良い?

とりあえず追って来ている連中に

私の正体を知られては不味いから全力は出せないから

飛ばすに【金の鵞鳥】まで行かないといけない」

「うわ・・・しんど・・・・・」

「しょうがないでしょ」

「そうだね」


はぁ、 とボクとアーケアスは溜息を吐いた。

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