獣への道 後編

日曜日の使者サンデー・モーニングからニクソンが抜けて2年後。

日曜日の使者サンデー・モーニングは落ちぶれてしまった

嘗ての栄光は既に無く、 リヘルタとサーフィスはブランクと怪我で

大幅に弱体化し貯金もほぼ底を尽きてしまったのだった。


「で、 如何する?」


白樺と黒檀の交差路はリヘルタとサーフィスの二人を街外れに呼び出して尋ねた。


「如何するって?」

「続けるの? 冒険者」

「当たり前でしょ!! このままで終わらせてたまるか!!」

「リヘルタの言う通りだ!! 栄光を絶対に取り戻す!!」

「そうはいってもこのままじゃ如何しようも無いよね?

一からやり直す?」

「馬鹿を言うな!! 日曜日の使者サンデー・モーニングここに有り!!

って見せつけてやる!!」

「その通りだ!!」

「だけど現実問題どうしようもないよね?」


白樺と黒檀の交差路の言葉にリヘルタとサーフィスは黙ってしまった。


「・・・じゃあ諦めろって言うの?」

「まさか、 私に案が有る、 ただ人の道には外れる案だがね

如何する? やる?」

「やるぜ!! このままじゃあ生活すらままならない!! リヘルタもそうだろう!?」

「勿論よ!!」

「じゃあちょっと来て」


白樺と黒檀の交差路はリヘルタとサーフィスを案内した。

街はずれから更に外れた所にぽつんと一軒家が立っていた。


「ここは?」

「さぁね、 タダの空き家よ」


白樺と黒檀の交差路は空き家に入り二人を案内した。

白樺と黒檀の交差路は大きな豚肉の塊を取り出した、

スペアリブだろうか。


「これは?」

「見ての通り豚肉よ、 【耳長】の魔法の一つにこういう魔法が有るの

蠅あらん事をブレッシング・ベルゼバル


豚肉に魔法がかかり豚肉は骨諸共グズグズに崩れていった。


「・・・これは?」

「死体を肥料に変える魔法」

「・・・・・で? 肥料作って畑でもやれと? ふざけてるのか?」


サーフィスがイライラし始めた。


「違う違う、 私達は確かに弱くなった

でも弱くなった所で何? 私達人間には知恵がある

力が衰えば知恵を使えば良い、 私達は獣とは違う」

「回りくどい、 ハッキリ言って頂戴」

「依頼を達成した冒険者を襲って殺して功績を奪えば良い

死体は蠅あらん事をブレッシング・ベルゼバルで証拠隠滅させればいい

功績を奪った後は報酬を受け取ってそれで強い装備を買えば良い」

「「!!!?」」


二人は驚愕した。


「そ、 それって」

「犯罪じゃねぇか!! 俺達に犯罪者になれって言うのか!?」

「だよね、 冗談、 忘れてね」


そう言って白樺と黒檀の交差路は空き家の裏口の扉に手をかけた。


「お、 おい、 何処に行くんだ?」

「別に? この案がダメなら日曜日の使者サンデー・モーニング

もう再起出来ないし他の冒険者パーティの所に行くよ

幸いにも私は五体満足だし」

「ま、 待って!!」


リヘルタは叫んだ。


「何?」

「・・・・・やるわ!!」

「おい!! リヘルタ!!」


サーフィスは流石に止めようとした。


「黙って・・・私は、 いえ私達にとって日曜日の使者サンデー・モーニング

人生そのもの、 諦められる? 諦めた後、 私達に何が残るの?」

「・・・・・!!」


サーフィスは逡巡したが結局は納得した。

それから日曜日の使者サンデー・モーニングは冒険者ではなく

冒険者から得物を奪う犯罪集団と化した。


リヘルタとサーフィスは最初は罪悪感に震えたが

3回目からは嬉々として冒険者を襲う様になっていった

人は環境の獣である、 幾らでも変われるし

何にだってなる事が出来るのだ。


遺体を消せるとは言っても身バレの危険性を避ける為に

拠点を定期的に変えて次々と金を蓄えて装備を整えていった。

サーフィスは魔法に抵抗力のある魔法銀の鎧と戦槌を

リヘルタは破壊力のある曰く付きの魔剣を

それぞれ武装を整えて戦力を揃え始めたのだった。


それでも彼等は人の得物を奪う事は止められなくなった。

まともに冒険するより此方の方が手っ取り早いし楽なのだ。

既に彼等には罪悪感は無かった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――


「・・・・・」


微睡から目覚めたリヘルタ。

武装を整えて全盛期の力を取り戻し、 何時か冒険者として返り咲く。

それが彼女の目的であり人生であった。


「見てなさいニクソン、 絶対にアンタを見返してやる」


何百回と唱えたその語句を彼女は口にしたのだった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――


ボクとアーケアスは愉快な気持ちだった。

黄金獅子ゴールデンレオの鬣が4つ手に入り20万Gの収入が入った。

1日1000Gは食べるので1日2人で2000Gで3ヶ月は持つ。


「如何する? 何か豪勢な物でも食べる?」

「いやいや思いっきり食べたいから食材沢山買って帰ろう!!」

「そうだね!!」


大量に食材を買い込む。

店員に『宴か何かかい?』とまで言われる位に買い込み。

家に帰って一気に食べた、 お腹いっぱいになってボク達は眠った。

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