生活を考えよう
新生活は金がかかる
ボクとアーケアスが王都から脱出して早二か月。
ボク達は国内最大規模の商業都市【金の淵】の一角に居を構える事が出来た。
冒険者ギルドで仕事を受けて収入には困らなくなった。
「とは言えこのままでは破産しかねない」
「何故? 充分に仕事をしてお金は持っているじゃない」
串焼きを食べながら本を読んでソファで寝転ぶアーケアス。
「【不定の神】への供物を定期的に捧げなければならない
これは良いんですよ、 今のボクがあるのか神様のお陰ですし
問題はボクと貴女「アーケアス」
一瞬で起き上がりボクの眼前に立つアーケアス。
彼女は様付けも敬称も好まなかったので基本的に呼び捨てで呼んでいる。
彼女も彼女で基本的にはラフな、 と言うよりも痴女の様な恰好をしている。
今は粘液と胸と局部を覆い隠す様な恰好である。
婚前交渉はしないと言っていたがこの恰好は最早交渉以前の状態では?
「あ、 アーケアスの食費の問題です」
「確かに、 物凄い沢山食べるからねぇ・・・」
【不定の神】から力を授かってからどうも食欲が抑えられない。
毎日とんでもない量の食事をする必要が有る。
出費はかさむばかりである、 居を構えられたのも
ここが何やら悪霊やら何やらが住み着いていたから
値段が安く手に入ったからである。
「と言う訳で狩りに行きます」
「狩り?」
「えぇ、 【金の
「【金の
「【金の淵】から離れた所にある【黄金都市】手前の森です
高く売れる素材になる強い魔物が多く居ますから
狩って売れば大儲けになりますよ」
「【黄金都市】? 何だか凄そうな街ねぇ・・・」
「ボクは死んでも行きたくないですね、 【魔女】の一人が居ますから」
「【魔女】? 魔法使いの女?」
「違いますよ、 この世界には恐ろしく強い魔法使い
【魔法と寝た女】と呼ばれる【魔女】が居るんですよ
主流になっている【拝火】【背水】【耳長】【星読】【双蛇】【右道】は
その【魔女】が源流になっているとか」
「君の使う魔法は?」
「【古式】とされていますね
使用者が少ないマイナーな古い魔法は纏めてそう呼ばれています」
「そうなの、 それで【黄金都市】の【魔女】は?
どの系統に入るの?」
「【黄金】ですね、 先に挙げた魔法流派は【恭順派】と呼ばれています
【魔女】達は【恭順派】と【反逆派】に別れて【反逆派】の【魔女】達の
魔法流派は殆ど失われています、 王国では滅多に見ない連中ですね
【黄金】は王国の事には一切意に介さず【黄金都市】から動かないでいます」
「王国は何もしないの?」
「王国も何回か軍隊を送ってその度に全滅して
何時しかその死体を喰らいに魔物達がやって来て
何時しか黄金都市の周辺は魔境と化しているんです」
「なるほどねぇ・・・」
アーケアスは考え込んだ。
「でも他の冒険者達は何で【金の
何か理由があるのかしら?」
「険しい道のりですから魔物を狩っても持ち帰るのが厳しいでしょう
しかしアーケアスは空が飛べるし力持ちだ」
「なるほどね、 それならば楽に持ち運びが出来るわね」
アーケアスはしゅるしゅると粘液が冒険者の様な服装に変えた。
「じゃあ行こうか、 善は急げよ」
「そうですね」
画してボクとアーケアスは【金の
その前に
「その前にギルドで仕事見ない?
『【金の
みたいな依頼があればスムーズに済むわ」
「じゃあそうしましょうか」
冒険者ギルドに向かうのあった。
冒険者ギルドは冒険者と依頼人との橋渡しをする仲介業である。
業務体系はギルド内の掲示板に依頼書を張り出して
仕事を受けると言う形式である。
そして依頼料から手数料を取る、 楽な仕事で羨ましい。
「【金の
1つにつき5万
「
じゃあこの依頼お願いしますー」
受付嬢に依頼書を提出して改めて【金の
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・何あの二人、
「見た所素人っぽいし身の程知らずなんだろう」
「・・・・・」
ギルド内に併設されている酒場で管を撒いている三人の男女が
【ゲッシュ】とアーケアスを見て嗤う。
それなりに中堅そうな男女と長い耳の女である。
「まぁあいつ等は除外ね」
「そうだな、 もっとちゃんとしている奴等を探そう」
「・・・あれなんて良いんじゃない?」
耳長の女が指差した先には5人位のやはり中堅位の冒険者達が
ドラゴンよりも格落ちはするものの並の冒険者では太刀打ちできない存在である。
「そうね、 じゃあ奴等で良いか」
5人組が意気揚々とギルドから出たのをみた3人はその後を着いて行ったのだった。
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