第3話

俺は死にものぐるいで勉強し、肉体の鍛錬にも毎日に取り組んだ。


しかし、同僚たちは試験ではカンニングを行っていた。

落第した者は、賄賂を送って便宜を図ってもらっていた。


俺が基地内を5周走っている間、同僚たちは2周でさぼり、あとは酒を飲んでいた。

飛行機の整備に使うアルコールを同僚たちは飲んでいたのだ。

上官も一緒になって飲んでいた。

誰も注意する者がいなかった。



こんなことでは、我が国の未来は絶望しかない。

そう思った俺は、上の組織に軍の不正や堕落を報告した。

それと同時に、第一線部隊への転属も申請した。


こんな腐った環境から一刻も早く脱したかった。


* * * * *


俺は逮捕された。


上の組織も腐っていたのである。

不正や堕落を追及する俺は、軍にしてみれば煙たい存在なのだろう。

身に覚えのない規律違反を理由に、刑務所へと入れられた。



独房の中で俺は考えた。

正しいことをすることが間違いなのか。

間違ったことをするのが正しいのか。



独房の窓から、空を見上げた。


雲が流れていく……

鳥が飛んでいく……



やはり、俺には空しかない。

戦闘機のパイロットに戻りたい。


軍の不正を告発した俺の行為は、まるで反逆罪のような扱いであった。


社会主義の理論についての再教育が行われた。

軍医によるカウンセリングも受けさせられた。



俺には体制を崩壊させようとする意志はない。

また、告発は私利私欲のためでもない。

ただただ純粋に、努力した者が報われる組織であるべきだと主張した。


軍医は驚いた。

軍の中にこんなにも高い志をもっている将校がいたのかと感心してくれた。

おいおい……

俺はいたって普通のつもりだ。

こんな俺の志が高いだと?



やはり、軍は腐っている……


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