第2話

俺の幼少時代は暗黒だった。


父は元軍人。

母は俺が2歳のときに離婚したので、顔なんて当然、覚えていない。


父はやがて、子連れの女性と再婚した。

新しい母は、血の繋がっていない俺にとても冷たかった。

食事はいつだって差別されていた。



早くこんな家を出たい。



そう思った俺は、学業に打ち込んだ。

そして、何者にも負けない強い肉体を作り上げることにもいそしんだ。


俺には大空への憧れがあった。

広い空には明るい未来があるように思えた。


俺は空軍に入隊し、戦闘機パイロットとなった。

空を飛んでいる時、俺は俺であることができた。


操縦の技術が高く評価され、俺は教官になった。

富豪の娘との結婚も果たした。


俺の人生は、ここが頂点であった。



軍は腐っていた。

不正が横行していたのだ。


軍では専門的な知識が必要であり、さまざまな資格が用意されていた。

資格があればあるほど、仕事の幅も広がり、出世することができる。


しかし、その資格の制度は穴だらけ。

上官にカネを払えば、資格はもらえた。


パイロットの免許の審査も甘かった。

成績不振でも、上官にカネを払えばなんとかなった。


叩き上げでここまで登りつめた俺には、このような不正が許せなかった。


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