第3話「旅のお供は…魔王様。」

あの日から二日がたった。この二日でこの世界の歴史について話した。

「この世界はな?元々魔族、人間、天使が混じって過ごしてきたんだ。そして現に今完全に人間だったり魔族だったりするやつはいないと思ってたんだ。だがな、この状態を崩壊させたのは誰だと思う?」

「人間!!」

「いや、天使だ。奴らは自分たちを神の使いだと思っているんだ。俺等はただずっとゆったりしてたかったんだ。三つの種族の垣根なんてなくしてさ。だが天使は王をつくった。頂点なんてなくても良いはずなんだ。そのうち人間も王をつくった。そして俺たち魔族は"野蛮なもの"とされてしまったんだ。ちなみに神は天使のことを嫌っている。願ってもないのに勝手に崇められるのは嫌らしいんだ。だが神は人間が好きなんだ。だから人間だけ違う世界から連れてこられてはとてつもない力を渡してしまうんだよ。それを均衡を保つためとか言うんだ。それで2年前ついに戦争が始まったんだ、三種族でだ。

そこで俺が一度仕切ってくださいとたくさんの者たちに言われたんだ。それで俺が今だけの魔王になっているんだ。…だから他の者たちのために俺は今すぐにでも彼らのもとに戻りたいんだ。」

っていう感じの内容だったな。そこだけは本当に熱演していたな。

あとお互いの名前を聞いたんだ。そしたら魔王に名前はないって言う話をしたのさ。

そして今に戻るのだが__

「まじで街もなんにも見当たらないし本当に草原だけなんですけど。」

「…そうだな。ここ最近本当に芝しか見ていない気がするな。」

最初はやっぱり始まりは草原だよなぁ〜ってとか思ってた。二日前に戻って自分を十回はぶん殴ってやりたい。

「僕の体そろそろ終わるって。…なんか魔法使えたりしない?」

「無理だ。せめて杖でもあればよかったが…」

やばいなこの状況…どうにかするしか…

「あれは街じゃないのか?」

周囲を見るが全然見当たらない。

「…ないけど?」

「あぁ、すまなかった。10km先だ。」

そうでした、僕魔王と旅してたんだった。よし。頑張ろ。

「着いたーー!!」

この世界に来てから二日、ついに街を見つけた。

初めて街に来て思ったのがここの世界の人達とはファッションが合わないな。ということ。この街の人たち全員が布を顔に巻いて厚着をしている。

そして、街に入るための門に貼られている看板には、

「こんにちは冒険者の皆さん。ここはハイスタート・タウンです!!」

と書かれている。初めての街にあまりにも興奮してつい、

「人がいるよ…本当に人がいるんですけど!!」

と大声で言ってしまった。

「はしゃぎ過ぎだ。変な目で見られているぞ。」

…確かに。学校の体育館と同じくらいの大きさの広場が少し混むくらいいるの人たちのだいたい半分くらいがこっちを見てますね。恥ずかしくて死にそうです。

だがやはりすぐにでも体を休ませたい。

そうして大勢の人達から視線を受けながら僕は宿屋に駆け込んだ。

「…お金は持っていますか?」

まず最初に宿屋の女将にそう聞かれた。

あ、うん。そうですよね〜泊まるんですからね〜お金必要…

ってどうやったら金稼げるんだ!?

「(魔王さん…ここどうやってお金稼ぐんですか?)」

小声で聞いた。

「ああ、それなら働くしかないな。」

次の瞬間、僕は宿屋の女将から一発ビンタをもらったあと外へつまみ出された。

そりゃそうだ。よく分からない服装をした男がいきなり店に入ってきてつけていた謎の装飾品から声が聞こえて来たわけだからな。パニクるわな。

ということで僕は職につかないと休むことすらできないので僕はボロボロの体で「ギルド職安」と書かれた看板が吊り下がっている施設に入ることになった。

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