第99話 バレンタインの願い💝2(願い)
もちろん、朝起きるのは、僕の方が早い。朝食の準備があるから。
今朝は、どうしてもベルの手がパジャマから離れなかったので、傍で上着を脱ぐしかなかった。
たぶん無意識だとは思うが、その後も、ベルは僕の脱いだパジャマを抱きしめて寝ていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そぅじ~、その甘いお菓子って、いつできるの?」
朝ご飯を食べながら、急にベルは、そんなことを聞いてきた。よっぽど、お菓子が好きなんだ。僕は、そう思った。
「来週のはじめには、できると思うけどなあ~」
「えー?そんなにかかるの?……早く食べたいなあ~そぅじ~」
「まったく食いしん坊だな、べるぅは………」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「メグちゃん聞いてよ!今度ねそぅじがね~甘いお菓子作ってくれるって!」
「甘いお菓子?」
後で聞いたのだが、ベルは学校へ行くとすぐにその話をメグミにしたそうだ。
メグミは、『すぐにピン!ときた』と、言っていたが、そのことはベルには内緒にして話を続けたそうだ。
「ねえねえベルちゃん、キッシーは、その甘いお菓子をいつ作ってくれるって言ってた?」
「来週かなあ……」
「そっか、来週か…………ねえ、ベルちゃん。“バレンタインの願い”って知ってる?」
「え、何?それ?」
「えっとね、簡単に言うとね、女の子が好きな男の子に、手作りチョコレートを作って食べさせると、願いが叶うって言われているのよ!
もちろん、願いっていうのは、アレよ!」
「へー、そうなんだ!それって、いつでもいいの?」
「いいやダメなのよ。
女の子が贈れる日は、2月14日って決まってるの。
そして、そのお返しで返事を出せるのが3月14日って決まってるのよ!」
「ふーーん………」
「ねえ、ベルちゃん。あなたも手作りチョコを送ってみたら?
…………私だって、去年“つよポン”にチョコ贈ったのよ。
そしたら、上手くいったでしょ!結婚できちゃったのよ!
…………ベルちゃんもやってみなさいよ…………うまくいくかもだよ!」
「……う、ううん……でも、あたし……もうすぐ…………」
「何言ってんの!そんな先の事なんて、考えないの!……思った通りやってご覧なさいよ!応援するからさ!!」
「…………うん!頑張ってみるよ!」
「よーし、それじゃあ今度の日曜日に、キッシーに手作りチョコレートのやり方を教わりましょう!」
「え?そぅじに教わるの?」
「そうよ、だって、ベルちゃんはお料理で全然ダメでしょ………。
キッシーに教わればバッチリよ!
…………大丈夫、キッシーには私がうまく頼んでおくから、心配しないで!」
そんな話がまとまった後、メグミは僕のところにやって来た。
メグミの案なので、計画はうまく進むように思われたのだが………。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます