第48話 海原の戦慄?🍧3(救いの人魚姫!!)
「なあ、ベル……さっきのジョンとかう女性さー、知り合いだろ?
……あんなバトルじゃなくて仲良くしなくて良かったのか?」
岸川は、ベルを砂に埋めながら、心配そうに聞いてみた。
「別にいつものことなんだ……
あいつは、いっつも最初は“ベルちゃん”って笑顔で寄って来るんだけど、遊んでるうちに、ケンカになって
………最後は泣いて帰るんだよなあ
………どうしてかなあああ
………………なあ、総司?これ、楽しいか?」
岸川は、首だけ出したベルに砂を掛けて、一回り大きなベルを作っていた。
目じりが、思いっきり垂れ下がっていたのは、言うまでもない。
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「あーあ、おっちゃん。見てられないよ、まったく子どもじゃないんだから
……砂遊びなんかして、何が楽しいんだか……」
こちらは、メグが鎌田技師を砂に埋めていた。
「あのなああ、メグちゃんや
………あんまりそこばかり砂を盛られてもな
………ちょっと恥ずかしいでな………」
「……もー、おっちゃんってばー、何言ってんのー、ばかー……ボコ!」
「う!」
メグは、砂を盛ったところを、思いっきり叩きつぶしてしまった。
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「う、う、……こうなったら、バスパ!……さっきのお返しをしてちょうだいよ……」
「了解!お嬢様!!」
「指令……いいんですか?ジョンも、熱くなって止まりませんよ~」
「いいじゃないか、カッコだって“リオのカーニバル”みたいなもんだし
……好きに暴れれば
……熱くなりすぎたら、海でも放り込めば冷めるだろう……」
「もーキング指令も夏休みモードなんだから……」
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「ベル、完成したぞ……ビッグサイズのベルフィールだ!写真でも撮っておこうか?」
「え?……これで撮るのか?……いいけど、普通の水着も撮ってくれよ!」
「お、おお……わかった…」
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「まったく、キッシーは、何ドキドキしてんだか?撮るぞーおっちゃん?はい、パシャ!」
「ふふふう……よく撮れたかね?みなさん?」
「ん?何だ?誰よ、あんたは?」
「私は、見ての通り………正義の味方“ホタテマン”だーー!」
「へ?“ホタテマン?”
……何、それ?
確かに、背中にでっかいホタテ貝を付けて、
顔はホタテの仮面、
胸に2つホタテ貝、筋骨隆々でビキニの競泳水着
……どこから見ても変態ホタテ野郎なんだけど……」
メグは、呆れて戦う気も薄れてしまった。
ところが、ホタテマンは、砂浜を苦にもせず走り回り、メグの背後にまわり、砂に埋まっている鎌田の隣にまんまと一緒に埋めてしまった。
「しばらく、一緒にここで埋まっていなさい……」
「こらー、待てー……キシちゃん助けて、おっちゃん動けないのー?」
「ダメじゃー、メグちゃんがあんまり深く埋めるもんじゃから……動けんわい!!!」
「もー、ダメねー……私ったら……キッシー、キッシー……」
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「ん?誰か、呼んだか?………」
「トゥ―……」
岸川が、振り向いたと同時にホタテマンのキックが顔面スレスレに飛んできた。
「な、何だ……お前!……ホタテの化け物か?」
「失礼な!……これでも、正義の味方ホタテマンだ!
……お前たちは、先ほど俺の仲間をたくさん食ったな!
……だから仕返しに来たんだ
……これでもくらえ、“ホタテキッーーク”」
「おおと……そうはいくか……うわー、ドサア……」
岸川は、ホタテマンの攻撃を避けようとしたが、砂に足をとられて転んでしまった。
「ふふっふふ………浜辺は俺の庭だ、お前達ではどうにもならんだろ!覚悟しろ!」
「クッソー………」
その時、足元の砂が一か所噴水のように沸き上がった。
しばらく、砂の噴水が続いたその後に、
真っ白い水着に黒い髪の毛を靡かせたベルフィールが、仁王立ちになっていた。
「ベル―――」
岸川は、嬉しさのあまり抱き着きに行こうとして、また、転んだ。
「大丈夫か?総司……すぐ、やっつけるから、待っててくれ……さあ、いくぞ!!」
ベルは、ホタテマンめがけて突進した。
ホタテマンも、砂の上はお手のものとばかり、縦横無尽に逃げ回った。
砂浜だけではなく、海の中へも入って行った。
「お前達、知ってるか?
ホタテはなー水中を泳ぐのが早いんだぞー
時速50キロは出るんだぞー
お前に追いつけるかな~」
自慢げにホタテマンは、ベルを挑発してきた。
「なにオー……そんなの、いくらでも追いつて見せる………」
ベルフィールも、海に飛び込みホタテマンを追いかけ始めた。
少し深いところもベルは、平気で潜っていった。
ただ、ホタテマンは水の中では、砂浜よりももっと素早い動きになって、一向につかまりそうになかった。
ベルも魔法を使おうとしたのだが、初めての海なので、どんな魔法がいいか見当もつかなかった。
「……そろそろかな!……おい、お嬢さん……浜に戻ろうか……」
「え?……捕まえるぞ?」
「へへへ……どうかな?………それより………平気かい?お嬢さん?……」
ホタテマンは、涼しい顔で波打ち際からゆっくりと砂浜に足を進めながら、後ろからくるベルフィールに声を掛けていた。
「何を言ってる?………………あ!!!!!」
ベルは、海の深さが胸のあたりのところで、急に立ち止まった。
「どうだーーー、参ったかーーー!!これが、ホタテマンの必殺技だーーーあははははは」
高笑いのホタテマンは、ベルに向かって、何かを放り投げて、そのまま帰って行った。
「あのホタテマンめーー、こんなものを……………何も無いよりいいか……」
ベルは、海中で慌ててゴソゴソとできるだけのことをしてから、浜辺に向かった。
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「ベルは、大丈夫かな……」
「ちょっと遅いぞ……」
助け出されたメグや鎌田も一緒に、岸川は浜辺でベルの帰りを待った。
時間にして、何分も経っていないが、とても長く感じた。
そのうちに、浜辺にいた人達がざわつき出した。
見ると、黒髪を靡かせて、悠然と海から浜に上がってくる美女がいた。
「あ!ベルだ!……何?……やって……ん……だ……?……」
防衛隊のみんなは、呆然とした。
すると、浜辺では、
「「「「「 人 魚 さ ま ーーー!!! 」」」」
と、拝む人々が続出していた。
「ああ!!」
いち早く岸川は、正気をとり戻し、バスタオルを手に走り出した。途中、何度転んだかわからいが……
「ばか!ベル、早く隠せ!」
バスタオルで、体を巻いた。
「ああ、総司。大丈夫だよ。ホタテマンが、これくれたから……」
そう言って、2枚のホタテ貝殻で作ったブラトップを指さした。穴を開けて紐でつないである。
「(これを手作りしたのかと思うと笑えてくる……)」
「それにな…深いところに行ったから、これもあったんだ……」
腰に巻き付けた昆布も喜んで見せてくれた。
岸川は、無事でよかったことと、こんなことにもあっけらかんとしているベルが、本当に頼もしかった。
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「ジョン様――お土産すよ~」
「バスパ~どうだった?」
「もちろん、うまくいきましたよ
……あの水着は、海水に触れると、一定時間が過ぎると溶けてしまうんです。
だから、あいつの水着は、戦っている最中にきれいさっぱり、ナッシングで~す」
「しかし、あの発明もキング指令の特許なんですね~恐れ入りました……」
「いやあ~、トール君、それほどでもないよ」
「だから、途中でバスパが、無茶なことをやっても、安心して見ていられたんですね」
「まあね~…………ところで、ジョン君、君もそろそろ時間じゃないかな?」
「え?」
「だって……ここに来て、喜んですぐ海に入ったよね……」
「はい…………あ!……ない!!………わたしの……水着が!……ああ!……」
「これ、バスパのお土産ね……君も使ってね。ボトムもあるから、大丈夫だよ」
「わーーーーーーん!!!」
ところが、この海水浴場、この後ホタテの3点セットが馬鹿売れして、玉佐間課長たちは、臨時ボーナスをもらうことになりました。
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