第47話 海原の戦慄?🍧2(潮風味の逆襲?)

「キャ!(⋈◍>◡<◍)。✧♡ショッパイ!!……総司、何?これ!」

「何って……海だろ?……」

「ベルちゃんは、初めてだったわよね!ほら!!」

 メグが、両手で海の水をすくって、ベルにかけてみた。


「キャ…ヨーシ……私もエイ……ソレ……」

 ベルも波打ち際で海水を両手ですくって、メグや総司にかけてみた?


 ざっぱーーんーー!!ドッパンンーーー!!


 ベルフィールは、まだ加減がわからなかった……


「ふふぃふぃーーーーー。ははははーーーふー、溺れるかと思った」

「あはははは……ごめんねーー総司」

 ベルが、大笑いして、海の中で転げ回った。


「もうーベルちゃんったらー」


『……おーーーい……一休みしないかーー?――……』

 おっちゃんが、パラソルの下から声を掛けた。


「総司、お腹が減ったぞ…」

「そうだな、メグ、何か食べるところは決めてあるのか?」

「任せてよ!……おいしい海の幸を食べさせる“海の家”を調べてあるの……みんなで行きましょ!!」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ここよ!定番の焼きそばやたこ焼きなんかもあるけど、おすすめはこれよ!

 ………海の幸の炭火焼きよ!!」

 メグは、自作で渾身の『旅のしおり』を開きながら、解説した。


「へー、何か本格的だな……でも、すごい混んでるぞ!」

「わしは、貝やイカを網で焼くのが大好物なんじゃ……どっか空いている席はないかの~」


 あちこちを見渡して空席を探していると、短パンTシャツでロン毛のお兄さんが、手を挙げて呼んでいるのが見えた。


「総司、あそこで、誰か呼んでるよ!……行ってみようよ!」

 珍しくベルが、先頭を切ってみんなをリードして行った。


「やー、みなさ~ん、ここが空いていますよ~、相席どうぞ~」

 呼んでいたのは、海の家の店員さんだった。


「総司、アイセキって、何だ?」

「あー、同じテーブルに、一緒に座って、食事をするってことだよ」

「じゃ、アイセキ……いいよな」

「あのな…“いいよな”じゃなくて……“お願いします”なの!」

 岸川は、ベルの頭を押さえてお辞儀をさせた。


「うっ!……ああ、い、いいですよ……なあ、高背?」

 テーブルの向かいに座って網に魚を乗せて焼いていたキング指令は、顔を上げて少し焦った。


「は、はい……ジョンが、良ければ……」

 部下のトールも、ビックリして隣のジョンに振った。


「??……あ!!……ベルちゃん!!」

 自分の焼けたホッケを一生懸命に食べていたジョンは、目の前にベルフィールの顔を見つけて一瞬箸が止まった。

 

「へ?……あ!お前は!……誰だっけ?」

 目の前のジョンを指さして…………首を傾げた。


「も、……私だ、ジョセフィーヌだよ、……隣に住んでいた……」

 自分の名前さえ憶えていないベルに、またもや怒りを覚えたジョンだった。


「あーーあ、泣き虫ジョンか!」

「うるさいわい!……余計なことだけ覚えていやがって!!」


「何、ベルちゃん知り合いだったの?」

「うん、昔、隣に住んでたの……」

「ということは、あっちの世界でか?」

「まあ、そんな感じかな……」



「はい、お待ちどうサマーバケーション!!ホタテのバター醤油網焼きデース」


「おー、これこれ!さあ、みんな、これだ、うまいぞー、食ってみれやー」

 鎌田のおっちゃんおすすめの一品が目の前に届いた。


 最初、ホタテ貝は閉じている。

 しかし、網に乗せ適度な火力で焼いて行くと、貝はパカッと口を開く。

 そこに、バターをひとかけら乗せ醤油を垂らして待つ。

 しばらくすると、

 白いホタテの貝柱の周りに、

 バター醤油の液が

 ホタテの汁と混じり合って満ち溢れるのである。


 ジュク ジューク シューク シューウー プクククゥ プウウウウウン


 音と香りが漂い、食欲をそそる。


「総司、おいしいよー、すごいよー……おかわりー焼いて……」

 ベルは、嬉しそうにホタテの網焼きを頬張った。


 もちろん他のみんなもおいしそうに食べたが、目の前で見ていたジョセフィーヌは、おもしろくなかった。


「店員さーーん!私にも……これ、ホタテのバター焼きもってきてーー、いっぱいねーー」


「はいよー、毎度ありーー、……………へい、お待ち!どうぞ!」



「はい、こちらのお嬢さんも、へい、お待ち!どうぞ!

………………こりゃ、どんどん行きまっせ―、

美女2人による、ホタテ対決だ……………

………………さあ、どんどん召し上がれ!!」



「おーい、ベル、大丈夫か?

 そんなに食べて、前みたいに大食いじゃないんだから気をつけろ!

 食べすぎると、海で泳げなくなるぞ」

 岸川は、ベルを見ながら心配そうに声をかけた。


「大丈夫だよ、総司……あれ位だと100個くらいはいけるから……」


「ばか!……お前のお腹は大丈夫でも、お金が足りなくなるんだよ

……タダじゃないの……」


「そっか!……じゃあ、もう止めよっかなあ~」



「おおおおっとーー、黒髪のお嬢さんは、ここで終了です。

 さて、ブロンドのお嬢さんは…………

 残念、すでにギブアップしていました。

 ホタテも枚数も遠く及びませんした………それにしても大丈夫でしょうか?

 少――し、食べすぎたようですが

 ……………周りがざわついております。


 ……………それでは皆さん、また、後ほど……」



「ジョン大丈夫か?だから、やめておけって言ったのに……」

 高背が、テーブルに突っ伏したジョンの背中をさすりながら、声を掛けた。


「だ、だ、だめ、背中…さすると、出る……出る」


「あ、すまん……」


「そうだよな~お前、さっきから散々料理を食べてたし、その後にホタテ競争って……

 無茶だよ

 ………それよりな………

 みんな見てるぞ………

 えっと………

 お前食べすぎて…………

 腰に巻いたパレオが外れたんだ

 ………………それに突っ伏してるから背面丸出しで……………」


「きゃーーーーーーーーーーー!」


 ジョセフィーヌは、慌てて砂浜を全力疾走したので、すぐに体形は元にもどり、無事パレオを結ぶことができるようになった。めでたし、めでたし!

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