第10話 上司だけど、マネージャー?or… 2 (防衛管理)改訂

「こらーーー待てーーーー」

 教頭は、走った。長い廊下を全力で走った。

「教頭~、そんなに突っ走ったって、やられるぞ~」

 ベルフィールが後ろから声を掛けながら、ゆっくり追いかけた。

「うるさい!オレだって……あんな奴、すぐやっつけてやる」

「あーあ、ベルちゃん、何か教頭先生を怒らせたんじゃないの~」

 めぐみも、後をゆっくり追いかけながら、ニヤニヤしていた。


「そんなことは、してないぞ!……私は、ただ、”教頭は料理と洗濯だけしてれば十分だ” って言っただけだぞー」


 ベルフィールは、何の屈託もなく、素直にそう思っていた。


「そりゃあ、教頭先生は、いたたまれないかもね…………」

 めぐみが、少し複雑な表情をして、ベルフィールを目で追いかけた。

「だって……総司のご飯はおいしいし、総司が洗濯してくれるから……」

「あああ、わかった、わかった

 ……ベルちゃん、いいから、早く教頭先生助けないと、敵にやられるよ……」


「おりゃあーー、このやろーー」

 教頭は、悪の化身に廊下の端でようやく追いつき、思いっきりグーパンチをお見舞いしようとしていた。


 ところが、次の瞬間、そいつは七色に光り出したと思ったら十数体の化身に分裂し、今度は教頭に襲いかかってきた。


「わあああーーーーーーーーー」

 教頭は、危険を察知し、すぐに逃げようとしたが、敵の放った光の網に捕らえられてしまった。

「ぎゃあああああーーーーーー」

 微量だが、体中に電流が走った。


 ベルフィールの目の色が変わった。一気に加速した。

「こーらーーあーーーあーーーー!!!!」


 雄たけびと共に教頭が捕らえられている電流網に体当たりをした。


「ベルちゃん、教頭先生、大丈夫?………早く、早く……また、襲ってくるよ」

 少し遅れて追いついためぐみでは、もうどうすることもできないくらい敵の数が多かった。


「ベルちゃん、立てないの?」


 敵に体当たりしたベルフィールは、まだ廊下に転がったままだった。


「ベル……す……まな……い」


 傍で倒れたまま、右手だけベルフィールの方へ伸ばして助けようとする岸川教頭だったが、自分もまた思うように動けないのだった。


 果たして、どうなる?防衛軍、最大のピンチが、もうやって来たのか?


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