第1章 仲間達

第3話 同じ釜の飯 1 (食うだけ)改訂

「また、君達か。ベルフィール君は、新戦力で頑張ってくれると思ったんだけどね~……

……破損報告書と始末書をお願いね!

修理代は、本部に請求しておくよ、いいねベルフィール君

……あ、それから、……書類ができたら、今日はもう帰っていいから

……………ただし、年休でね!」


「えーーー、ひっでーなー校長…………せっかく悪い奴をやっつけたのに

…………また、評判が下がっちまう……」

 ベルフィールが、ふて腐れて校長に悪態をついたが、どうにもならなかった。


「ダメだよ、ベル。校長が一度決めたことは、変えられないんだ。

諦めて、さっさと片付けて家に帰ろう」

 岸川教頭は、ベルフィールの始末書を代筆し、校舎の破損報告書を作った。


 その間も、彼女は、せっかく頑張って敵をやっつけたのに報われないと、駄々をこねていた。


「あ~あ~教~頭~、も~は~や~く~、帰ろ~よ~」


「わかったから……さっきはあんなに勇敢に戦っていたのになあ~~」


「そ~だ~よ~…Zuu…Zuu…」


「まずい、もうそろそろ限界かも……」


 岸川教頭は、眠りかけたベルフィールを正面から肩に担いだ。

まるで、米俵を担ぐように両手で彼女の両足を抑え、バランスを保った。


家に着き、玄関の戸を開け、とりあえず、彼女をソファーに放り投げた。


「ぎゃ」

と、声は上げたが、彼女は寝たままだった。


 岸川教頭は独身だが、ベルフィールと同棲しているわけではない。

彼女の家は隣だ。

アパートの隣室同士になった?

いや、彼女の企みで、そうせざる得なかったのだ。

 

岸川教頭は、とにかく料理がうまい。

あっという間に今も大盛りのかつ丼を作った。


「ほら、できたぞ!」

 ベルフィールは、匂いに釣られてむっくり起きた。

まだ、半分目は閉じてはいるが、食卓に向かい、かつ丼をマッハの速さで口に掻っ込んだ。


「ふぁあーー、ふぁあー…ごくうん……ごっくん………うまかったああ………」

 一心不乱に平らげ、また満足そうなトロンとした目になってしまった。


「おいおい、また寝るんじゃないだろうな?早く家に帰った方がいいぞ……」


「……ああ……んん……お休みなさい……」

「え?……何やってんだよ……ここは、俺のうちだぞ!」


「大丈夫……直属の上司だから……お休みなさい……」

「直属の上司だから……ダメじゃないのか?……おい……おい」


「……うち……帰って掃除するの……面倒くさい……お休み」

「え?……え?……掃除が面倒くさい?……お前、掃除もできないの?」


 彼女は、そのまま岸川教頭のアパートのソファーで、毛布に包まって寝てしまった。


「おい!その毛布……いつの間に持って来たんだ?」


 ベルフィールは、ちゃっかり自分の毛布を岸川教頭の家のソファーに常駐させていたのだった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る