第4話 猫耳姫、恋をする

「お姫が、学校ってどうなのよ・・・」


私は、ツッコんだ。


「ま、姫様の前世の地球の王族がどうかはわかりませんにゃ。

けど、姫様は勉強だけが目的で、学校に行かれる訳じゃありませんにゃ。」


アリシアの長女ナキが言う。


こいつは、職人一族「ミケランジェロ一族」の次期当主だ。


義務教育なんだよね・・・


「是非とも、王太子補佐官をゲットしていただかなければなりませんにゃ。

誰をお選びになっても、いいですにゃ。

イケメン、ブサメン・・・

よりどりみどりですにゃ。」


「オイ!

あたしゃ、エラル家の男か?」


エラル家・・・

宰相一族で、仕事は真面目だが、下半身に信用がない、一族だ。


「無礼を承知で、言いますが・・・」


ニヤリと笑う。


コワイ!


リアル・チェシャ猫だ!


「王族でも、絶食系が許されるのは、「王太子」のライセンスがない方だけですにゃ。」


「うげッ!」


そうなのだ・・・


「高貴なお血筋ゆえ、これだけは「自由」ではないのですにゃ。

他国の王侯貴族や有力貴族との政略結婚でないだけマシですにゃ。」



ひどい・・・


王太子は、結婚しなければいけないようだ・・・


「絶対、「補佐官」ゲットしないとダメ?」


「ダメですにゃ。

百歩譲ってあちしや、ご両親がイエスと言っても、評議会が許してくれないにゃ。

逆に・・・」


「逆に・・・?」


「どんな「ブサメン」でも、姫様と相思相愛・ラブラブなら、すんなり通りますにゃ。」


「だから、どんな女王様にも「補佐官」がいるのね・・・」


「はいですにゃ。」


「た・・・種馬あ~・・・」


「はいにゃ。

そう呼ばれた補佐官もおられましたにゃ。」


確か、画伯女王と言われた女王の補佐官がそうだったようだ・・・


錬金術師女王の補佐官もそうだったと聞く・・・


なんたること!


「ひどい・・・!」


ふつう、がんばって産むほうが、こういう立場に立たされるのではなかろうか。


逆だ。


「はーい!授業を始めます!」


教師は、メガネの女性。


エラル家の出で、子供が既に六人もいる美人さんである。


地球の猫でいうと、アメリカン・ショートヘアといったところか。


隣の席に座った少年がいた。


「イリア・マーティンです。」


白猫の少年は、にっこりと笑った。


尻尾を立てている。


人猫ワーキャットの親愛表現である。


私の心臓が、どくんと鳴った。


イケメン彼氏キターッ!

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